個人賞
- 作品賞
殺し屋1
製作=オメガ・プロジェクト/オメガ・ミコット - 監督賞
三池 崇史
「殺し屋1」「ビジターQ」「天国から来た男たち」 - 主演女優賞
麻生久美子
「回路」「贅沢な骨」「0cm4」他 - 主演男優賞
寺島進
「空の穴」「みすゞ」他 - 新人奨励賞
宮﨑あおい
「EUREKA(ユリイカ)」 - 新人監督賞
冨樫森
「非・バランス」 - 特別賞
妻夫木聡&ボーイズ
「ウォーターボーイズ」
ベストテン
- 1位
殺し屋1
監督:三池崇史 出演者:浅野忠信、大森南朋、塚本晋也、寺島 進 - 2位
EUREKA(ユリイカ)
監督:青山真治 出演者:役所広司、宮﨑あおい、宮﨑将、斉藤陽一郎 - 3位
回路
監督:黒沢 清 出演者:加藤晴彦、麻生久美子、小雪、有坂来瞳 - 4位
リリィ・シュシュのすべて
監督:岩井俊二 出演者:市原隼人、忍成修吾、伊藤歩、蒼井優 - 5位
風花
監督:相米慎二 出演者:浅野忠信、小泉今日子、麻生久美子、尾美としのり - 6位
ピストルオペラ
監督:鈴木清順 出演者:江角マキコ、山口小夜子、韓英恵、永瀬正敏 - 7位
非・バランス
監督:冨樫 森 出演者:派谷恵美、小日向文世、羽場裕一、原田美枝子 - 8位
ウォーターボーイズ
監督:矢口史靖 出演者:妻夫木聡、ボーイズ、眞鍋かをり、平山綾、竹中直人 - 9位
ビジターQ
監督:三池崇史 出演者:遠藤憲一、内田春菊、渡辺一志、中原翔子 - 10位
トーキョー×エロティカ 痺れる快楽
監督:瀬々敬久 出演者:佐々木ユメカ、佐々木麻由子、えり、石川裕一 - 10位
忘れられぬ人々
監督:篠崎 誠 出演者:三橋達也、大木実、青木富夫、風見章子
選考委員
浅見祥子(映画ライター)
選評を読む
1 殺し屋1
2 回路
3 リリィ・シュシュのすべて
4 ハッシュ!
5 贅沢な骨
6 EUREKA(ユリイカ)
7 ビジターQ
8 赤い橋の下のぬるい水
9 忘れられぬ人々
10 まぶだち
○監督賞=三池崇史(殺し屋1)
○主演男優賞=遠藤憲一(ビジターQ)
○主演女優賞=片岡礼子(ハッシュ!)
○新人監督賞=ジョン・ウィリアムズ(いちばん美しい夏)
■コメント
こうしてベストテンを考えてみると、邦画にとって2001年は充実した年だったという気がします。リストに挙げた以外では、『張り込み』『ウォーターボーイズ』『ピストルオペラ』が面白かった。各賞については特に主演男優で迷いました。『風花』『殺し屋1』の浅野忠信、『ハッシュ!』の高橋和也、『EUREKA(ユリイカ)』の役所広司と、いわゆる"熱演"でない演技に目がいきました。女優では『贅沢な骨』『赤影』の麻生久美子も魅力的でした。そして監督賞ですが、私の中では『回路』の黒沢清と『殺し屋1』『ビジターQ』の三池崇史の一騎打ち。最後の最後まで迷いました。阿部嘉昭(批評家)
選評を読む
1 リリィ・シュシュのすべて
2 リムジン・ドライブ
3 トーキョー×エロチカ 痺れる快楽
4 殺し屋1
5 PAIN ペイン
6 SELF AND OTHERS
7 UNCHAIN アンチェイン
8 張り込み
9 寝耳に水
10 ビジターQ
次点 日本鬼子
○監督賞=岩井俊二(リリィ・シュシュのすべて)
○主演男優賞=寺島進(空の穴)
○主演女優賞=若林しほ(張り込み)
○新人監督賞=石岡正人(PAIN ペイン)■コメント
2001年度は『映画芸術』誌にもベスト10(実は20)を発表した。評価は本欄でも概ね変わらないが、2000年12月公開分を候補に含んだ『映芸』と2001年12月公開分を候補に含んだ日プロの差もあって、順位は若干入れ替わった。ただし、選評には違うことを書く。
2000-01年にかけての映画ベスト企画は、シネマ下北沢を拠点にした「ラヴ・シネマ」シリーズだったろう。すべてビデオカメラ撮り、ビデオ・プロジェクター上映という条件で、6人の監督を息詰まる競作状態にかける。これは、低予算を目す以上に、映画とビデオの交配によって「映画」という自明性の保証を取り崩す、果敢な試みだったといっていい。『張り込み』『ギプス』『ビジターQ』と、2001年公開分に入ってから、ビデオ属性によって映像に不可逆的な変化を齎そうという各監督の着眼に、さらに熾烈さが加わる。『張り込み』は盗撮ビデオに代表されるビデオ撮影の犯罪性を作品に取り込む。現在時制のモノクロ、過去のカラーという弁別は時間認識の絶望感から生じているが、終盤、カメラは撮影者の人称(それは劇中人物のこともあればクレジットされた撮影技師のこともある)を完全に超えて監視カメラ的な脱中心性に達し、劇として繰り広げられている主婦にたいする闖入者の「責め」の情動が曖昧に浮くような仕掛が施されている。作劇上、無謬性を付与されていないヒロイン若林しほもビデオで撮られることで遂に無名性を離れられず、結果、肉付きのよい、時に猥褻に開く両脚のみがリアル=アンリアルな亡霊的自足性を保つことになった。それが魅惑だ。ビデオを意匠に取り込んだ場合の亀裂を本作は獲得した。女から女への精神SMを描く塩田明彦『ギプス』は女のナレーションによって語りが異常速度を帯びてゆく。ビデオ作品に多く付纏う安直なナラティヴ・・それを作品は逆用した。結果、現実/非現実の境界を消滅させるチープメイドな蠱惑が作品に生じ、作品世界の箱庭的限定化に拍車をかけることになった。ただしこの場合のビデオ属性把握はやや消極性に傾く(なお塩田は1ショットの数秒に生じた意味のみを保ち、短いショットの延々の連鎖を通じ物語叙述を細密化/世界化させていった奇蹟的映画『害虫』の公開を3月に控えている・・そこでは速度醸成のためのナラティヴが一切排され、よって作品は信じがたい格調と文法創出の栄えを得ることになった)。『ビジターQ』は、出演俳優自身もビデオカメラをもつことによって、作品世界が無限に内部分岐してゆく。評者は、沢山の小部屋とひとつのサロンで形成される、シャルル・フーリエ的なユートピア空間を想った。パゾリーニ『テオレマ』よろしく、現代的な問題を抱えた崩壊家族が非現実的な外力を通じ聖家族化するまでを捉える。俳優によるビデオ撮影は、そんな「家族画」にモザイク砕片の集合体のような擬制を与えたのだ。しかも撮影技師の地位保証の剥奪は、監督のそれと表裏だ。監督も作品のアナーキーな自走性をうべなう。それで終盤に生じた作品前提の破壊を、作品自体=三池自身が大笑いしている。その哄笑感覚により本作は『テオレマ』を一挙に引き離した。三池が想定していたのは庵野秀明『ラブ&ポップ』における浅野忠信-三輪明日美のセルフ・カム撮影場面ではなかったろうか。
・・というような話は実は前段だった。評者の掲げたベスト10作品が、僅かな例外を除き、ビデオ撮影の全面展開や混入を前提に撮られている点に注意を促したかったまでだ。そうなった理由はすでに前言している・・現代的リアルを勘案するとき、優れた映画作家にとって「映画の自明性」はもはや疑われているのだ。『リリィ・シュシュのすべて』は全篇スーパー16撮影で、沖縄旅行場面と伊藤歩が輪姦される場面では俳優自身が撮影するビデオ画面も挿入される。盟友・庵野の『ラブ&ポップ』からの継承はここにもある。だが本作で強調されるべきなのは、ファンサイトに書き込まれるパソコン文字が刻々生成するかたちで画面に上乗せされ、《リリィ・シュシュ》の音楽が圧倒性をもって画面を縫い込む際の呼吸だ。あれが《エーテル》だ。精密なデジタル編集によって、その呼吸の機微は微妙さの域に達成された。それに乗って、観客はこの緩徐調の大悲劇の終点にまで連れ出されてゆく。このとき画面の余白に位置するような少年少女たちの佇まいの痛みが忘れがたいのだ。そして「映画以外」のもののもつリズムを画面に閑雅に刺繍したこの作品の肌理が、過去の邦画では類をみないものだという点も閑却できない。『リムジンドライブ』は全篇パル方式のベータカム撮影(1秒25コマだからキネコにかけたとき1秒24コマの映画とのズレが減る)。ビデオは、ゲリラ撮影の小回りな起動力で大きな効果を揮った・・結果、コギャルが侵入していったニューヨークの下町の光景がより微細な時間感覚を伴って作品に繰り込まれていったのだ。しかもビデオ撮影とフィルム撮影は対象の親密化では差がない。だからおバカ・コギャル仲佑賀子は、終盤に近づくにつれ魅力を投じた。本作では仲の日本語英語が端的に示すように、日本人の世界化には逡巡から脱したうえでの「シャッフル」の感覚が必要だという点が政治的メッセージとなる。そのシャッフル感を、コギャルが愛することになる黒人ベーシスト、T・M・スティーヴンスの音楽も体現していた。画面変転は彼の音楽の律動に忠実に従う。デジタル編集の賜物だろう。そのデジタル編集が、そもそもビデオ的なのだ。『トーキョー×エロチカ』も全篇ビデオ撮影。これは瀬々的「シャッフル」の方法論的精華となった作品だ。評者は瀬々のかつての「風景論」は足立正生ではなく中平卓馬起源だとおもっている。しかし彼は中平の繊細病を脱すべくその対偶・森山大道の写真に接近していった(森山の写真集と同題の瀬々『HYSTERIC』は、中平/森山の写真的方法論=「擦過」を基軸にしている)。その瀬々が次に眼中に置いたのが荒木経惟を過激化させた大橋仁的「シャッフル」の方法論だろう。ビデオ映像は映画映像ほどの決定性をもたない。どこか無重力性を病む・・だからこそ「シャッフル」に適す(その点を助長させていった本作では、シチュエーション/時制が分断される複数の人物群をつなぐ糸すらもが断ち切られてしまった)。瀬々は、ビデオ映像の成立方法を、液晶画面の接写を含め(その瞬間は森山の『写真よ、さようなら』のようだ)千変万化させる。映像の「非親密的な抒情性」追求のためだ。結果、最近の瀬々にしては例外的な強度をもつ性愛シーンさえも非親密的に抒情化した(大橋は写真集『目のまえのつづき』において、荒木の私小説写真を継承したカンパニー松尾のAVを、ハメ撮りを通じさらに逆輸入した・・ここで瀬々がしたことにも無論AVが念頭に置かれている)。ビデオカメラの介在は撮影現場を映画カメラより自然化する点は勿論だが、その点よりむしろAV的な非親密の抒情のほうを瀬々は奪還したかったのだとおもう。だがそれは最終的に無可能だ。それに身悶えするさまも、本作にあっては抒情的にみえる。だから「生誕前と死後の狭間の《空白》のなかで人物たちが性以外に何らの具体的な生を生き得なかった」「よって何らの有効的な年代記になりえなかった」作品の絶望を、作品末部で川瀬陽太・佐藤幹雄たちが深夜の渋谷西武前の焦慮にみちた演奏を通じ増幅するのだ。『殺し屋1』は手持ち資料では明瞭でないのだが、ビデオ撮影が多用されているはずだ・・CGによる画面加工をより安価・容易にするために。CGは残酷映像の実現に寄与した。三池は知悉する・・山本英夫の原作漫画にあった残酷の圧倒感は、映像で過度になぞれば「笑い」に変貌してしまうと。優れた漫画のもつ表現の増殖力に圧倒感が付纏うのにたいし、映像はシチュエーションのパッケージとして自己露呈してくるがゆえに、その人為性は自己言及性に転位してしまう。自己言及性が笑いの要諦だという指摘は、かつてテリー・イーグルトンがブレヒトについておこなっていた。その自己言及的パッケージ感にビデオ撮影がより効力を発揮する。『PAIN』では様々な系の物語のうち、女子中学生藤本由佳がカラクリにみちたパー券販売の不始末により、やくざから追い込みをかけられる。売春斡旋役だった彼女は自らAV出演してカネを得なければならない。このとき、下元史朗の構える素材確認用ビデオカメラにたいしガングロ化粧を落とした藤本が秘されていた本名・出自などを、諸肌を脱ぎ語りだす。画面は下元主観のビデオ画面。ガングロの下にあった彼女の膚が荒廃を極める。それで作品の通奏低音が完全露呈する。最も悲劇性の強い時間をドキュメンタリスムが彩るという石岡の方法論には誰もが注目すべきだが、その時間にはよりリアル感のあるビデオ撮影が導入されたのだ。「シネマGOラウンド」中の1作『寝耳に水』は、「スカム」特有のナラティヴに着目した『ギプス』の限定世界性にさらに磨きがかけられたものだろう。ナレーション、そして「幻影のM女」をめぐる男二人の江戸川乱歩的対話の駆使。映像の刻々を後追いしてゆくボカシ漏れめいて淫猥な「残映」効果と同時に、その安価なナラティヴがビデオ属性の全面開花を意図している。井川耕一郎は特殊専門用語を導入してくることが多い・・ここでは「幻影肢(ファントム)」だ。幻影肢は画面から切断された死者の痛みの発展形としてさらに幻影化されてくる。そして消えたカップルは、話者カップルの衰微の実相に転位されるのだ。たった30分強の上映時間のなかで、隠喩/アレゴリーの膠着/分離作用は猖獗を極める。評者には真のポップにはビザール感が必須という持論があるが、本作は蠱惑性のうちにそれを極めた。
掲げた10本のうちにはドキュメンタリーが2作ある。一本が牛腸茂雄の写真の映像論的解析を目論んだ『SELF AND OHERS』。記念撮影的に写された対象のカメラ目線を象る牛腸の写真が、ここではそのまま生きられる。その瞳に映画観客たちは見つめられる。だからSELFにすぎなかった観客は、脊椎カリエスによってからだの歪んだ異形の撮影者・牛腸の位置に重なるように折り込まれ、OTHER(他者)となる。その一方で牛腸のように人ではなく「風景の隙間」に恍惚とする映画カメラは牛腸とは別経路で非親密さの親密性を掘り当ててゆく。このふたつが揃い、観客は他者への視線を訓育されるのだ(ただし監督佐藤は生前の牛腸の機械的でフリーキッシュな「声」の導入によって作品の納得構造を破壊する、超越論的な亀裂を入れることも忘れない)。最後、作品が改めて牛腸の写真集『Self and Others』の一枚一枚を辿り直すとき、(とくに霧の向こうに走りながら消えてゆく草原の子供たちの写真によって)緊張にみちた牛腸の写真に同調してきた観客の体験も幸福な大団円へ導かれる。本作が成功したのは映画以外のもの・・つまり「写真」を映画に取り込んだことで、やはり映画にとっては非-自己同一的な「リアル」が生じたためだ。写真はおのれを語る・・その信念のために関係者のインタビュー映像をすべて捨てた本作には英断性があり、それが作品全体を純度の高い結晶体にした。「現実」の捨象と再現(複写)の微妙な駆引きは、佐藤ドキュメンタリスムの新次元を示すものだ。『アンチェイン』は殆ど無名のアンチェイン梶が主役。彼は場違いな欲望を絶えずしるす弱いボクサーで、作品はその破滅過程をストーリー化する。ナレーションの叩きつけるような素晴しい文体、梶を取巻く者たちの個性の粒立ち、田中登『(秘)色情めす市場』同様の「あいりんセンター」など嗅覚にも作用するディープ大阪を浮上させたこと・・美点は多い。ドキュメント・ストーリー自体に大阪特有の錯雑感があり、梶の死を予感させてそれを外す語りの悪戯っぽさもある。ところで梶は監督豊田の友人、その残されたビデオ映像や写真を導入して、このように「個人性」を基盤に置く作品が劇場公開のドキュメンタリー映画へと鞍替えされた。その意義は何だろうか。①無名性の称揚。②ドキュメンタリーは社会悪や事件を捉えるべきだという戦後民主主義的強制の破壊。③対象に作家主体が示すべきは「畏怖」ではなく「友愛」のほうだという今日的確信・・これらだろう。それで友人を記録したビデオ映像が導入される。ドキュメンタリーの分野でもビデオによりリアルの変換が起こったのだ。だから本作は画期的となった。2001年度のベスト10、その映画的リアルの変貌を跡づけるため「ビデオ」という鍵語が必要とされた理由もここで全貌を現すだろう。諸作の撮影者を50音順で列挙しておく。上野彰吾(『張り込み』)。大城宏之・遠山智子・橋本彰子(『寝耳に水』)。斎藤幸一(『トーキョー×エロチカ』)。篠田昇(『リリィ・シュシュのすべて』)。田村正毅(『SELF AND OTHERS』)。豊田利晃(笠松則通)(『アンチェイン』)。鍋島淳裕(『PAIN』)。マイケル・パールマン(『リムジンドライブ』)。山本英夫(『ビジターQ』『殺し屋1』)。
ここでドキュメンタリーについて付言を。BOX東中野とイメージフォーラムの意欲的なプログラムもありドキュメンタリー公開はいま多様化してきた。2001年を契機にドキュメンタリー上の戦後民主主義破壊が更新することを筆者は望んでいる。だがそれは容易ではない。たとえば本年公開の佐藤真『花子』ですら、知的障害の女性の美術的才能に畏敬の念をもったがゆえに戦後民主主義的だった。しかも同作は作品成立基盤が「事後的」なのだ。藤本幸久『闇を掘る』は北海道の全炭鉱消滅に際しての挽歌たりえたがやはり社会認識が戦後民主主義的だ。老坑夫のサハリン再訪に主軸を据えたらどうなっていたか(そこには誰も顧みなかった新しいアジアがみえた)。松原明・佐々木有美『人らしく生きよう・国労冬物語』。国労組合員を襲った歴史的抑圧を長い取材過程と多様な素材引用で立体化した点に敬意を表するが、使用音楽を含め人道的な旧左翼運動に感性を支配されている。国労政策が現在のリストラの非人間性の祖型になったと主唱するが、リストラに関しては一会社に感性・能力を支配されず、たえず自立的に逃走してゆくメティス的運動神経がいま求められている。チェルノブイリの近隣に、圧倒的に豊かでユーモラスな農民的時間を追い、それを定着していった本橋成一『アレクセイと泉』(これも本年公開)もドキュメンタリーの旧套からは不自由だ。同じく本年公開、森達也『A2』はオウムの外部/内部の境界を消滅させることで戦後民主主義にたいし破壊的だったが、逆に曖昧な「共同体」を出来させたことで求められる攻撃性が稀薄になった。藤井謙二『≒森山大道』は都市彷徨/写真撮影に際しての森山の身体定着には大成功したが、インタビューでの対象癒着とリファレンス人材の限定により子供っぽさを出れなかった。ゆいいつ小川プロの組織論的秘密に「禁忌」部分も含め迫ったバーバラ・ハマー『Devotion・・小川紳介と生きた人々』(本年公開)のみが自由だ。しかしその神域破壊力は、監督が外国人女性だったためだろうか。日中戦争生き残り兵士に自分たちのなした残酷を語らせた松井稔『日本鬼子』は歴史修正主義者にたいし異言を組織する。語る老人たちの顔の性的紅潮が恐怖だ。過去の「語り得なさ」を主眼にしたランズマン『ショアー』に較べ老人の言葉のみで意味を繋いだから『日本鬼子』は駄目だという『図書新聞』編集部評を評者は採らない。『ショアー』信奉者に向けどんなドキュメンタリーもドラマ的編集を逃れられないと立証した加藤幹郎論文を参照のこと(『映画とは何か』所収)。逆に『日本鬼子』は、そのドラマ的編集により終盤、作品の不埒な立脚点に崩壊が起こり、結果、代位的に「歴史への畏怖」が増強されるという確信犯的な組成をもつ。この作品を組成の変貌ぬきに種明かしも辞さず戦争恐怖の証言と平面要約してはならない。座りの悪い本作の現代的攻撃性にたいしてはいまだ正しい評言が出ていない。
ちなみに選出で未見が気になったのは、山下敦弘『どんてん生活』。それから昨年度のベスト10では観逃していたために望月六郎『B級ビデオ通信AV野郎・抜かせ屋ケンちゃん』を入れ損なった点もお詫びする。昨年観ていれば間違いなくベスト3に入れていた。
上野昂志(評論家)
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1 ピストルオペラ
2 EUREKA(ユリイカ)
3 回路
4 RUSH!
5 風花
6 SELF AND OTHERS
7 アカシアの道
8 GO
9 まぶだち
10 UNCHAIN アンチェイン○監督賞=鈴木清順(ピストルオペラ)
○主演男優賞=浅野忠信(風花)
○主演女優賞=小泉今日子(風花)
○新人監督賞=ナシ■コメント
今年の日本映画は、これ以外でも、『ハッシュ!』『忘られぬ人々』『ターン』『DISTANCE』『路地へ』等、少し視点をずらせば、とりあえず並べたベストテンと入れ替っておかしくない作品があった。という意味でいちおう充実した一年といっていいだろう。にもかかわらず、振り返ったとき、全体に鈍色にくすんだ印象があるのはなぜか。みんな一様にキマジメだからではないのか。その点で、衰えたりとはいえ、鈴木清順の相変わらずのデタラメぶりは瞠目に値する。自己模倣という批判はあるものの、清順以外の誰が、あのような朗らかな破壊をやってみせるというのか。キマジメな若手は、その精神をこそ学ぶべきであろう。
臼井一郎(V☆パラダイス番組担当者)
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1 殺し屋1
2 非・バランス
3 EUREKA(ユリイカ)
4 ビジターQ
5 BROTHER
6 RUSH!
7 贅沢な骨
8 ほとけ
9 どんてん生活
10 光の雨○監督賞=三池崇史(殺し屋1、他)
○主演男優賞=寺島進(みすゞ、殺し屋1、他)
○主演女優賞=派谷恵美(非・バランス)
○新人監督賞=冨樫森(非・バランス)■コメント
「苛立ちから旅立へ!」などという映画上映、講演会を30年前に開催した事をかすかに思い出した。なぜ映画『光の雨』を、10本の中に選ぶのか、で苛々しながら、昔の事を考えた。そして10番目に選んであった作品をギリギリで差替えた。どなたか映画『光の雨』をどの様に語ってよいのか教えて下さい。1位に選んだ『殺し屋1』、2位の『非・バランス』以外は特に順位づけする意味がなかった好きな映画の順番です。
大高宏雄(日プロ大賞実行委員長)
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1 殺し屋1
2 忘れられぬ人々
3 アヴァロン
4 EUREKA(ユリイカ)
5 ビジターQ
6 リムジン・ドライブ LIMOUSINE DRIVE
7 回路
8 どんてん生活
9 贅沢な骨
10 ウォーターボーイズ○監督賞=三池崇史(殺し屋1、ビジターQ)
○主演男優賞=浅野忠信(殺し屋1)
○主演女優賞=内田春菊(ビジターQ)
○新人監督賞=ナシ荻野洋一(著述・演出)
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1 EUREKA(ユリイカ)
2 少女~an adolescent~
3 リリィ・シュシュのすべて
4 すでに老いた彼女のすべてについては語らぬために
5 路地へ 中上健次が残したフィルム
6 天国から来た男たち
7 殺し屋1
8 風花
9 悲しくなるほど不実な夜空に
10 世界の終わりという名の雑貨店○監督賞=青山真治(EUREKA、すでに老いた彼女のすべてについては語らぬために、路地へ)
○主演男優賞=大森南朋(殺し屋1、カルテット、忘れられぬ人々)
○主演女優賞=麻生久美子(回路、贅沢な骨、0cm4など多数作品)
○新人監督賞=奥田瑛二(少女~an adolescent~)■コメント
『EUREKA(ユリイカ)』は国内外で賛否両論を醸したが、筆者は断固支持派を自任。いずれにせよ、門外不出の高崎映画祭用作品(『すでに老いた彼女のすべてについては語らぬために』)の過激さも含め、2001年が「青山の年」だったことは間違いないだろう。挙げた十本の他にも、行定勲『贅沢な骨』、篠崎誠『忘れられぬ人々』、山下敦弘『どんてん生活』、廣木隆一『美脚迷路』などを惜しくも選外としたが、いずれも無視し得ない作品である。また演技部門では、裕木奈江(『光の雨』)、小沢まゆ(『少女~an adolescent~』)、山口小夜子(『ピストルオペラ』)、宮﨑兄妹(『EUREKA』)、葉月螢(『悲しくなるほど不実な夜空に』)を特筆させていただく。能書きついでに言うが、田中眞澄・木全公彦らの手によって超力作ムック本が出たことでもあるし、どこかで清水宏の生誕百年を祝って現存全作リバイバルを実行してくれる立派な小屋はないものだろうか。
片岡真由美(ライター&編集者)
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1 リリィ・シュシュのすべて
2 まぶだち
3 EUREKA(ユリイカ)
4 殺し屋1
5 DISTANCE
6 青~chong~
7 アカシアの道
8 空の穴
9 ≒森山大道
10 19○監督賞=岩井俊二(リリィ・シュシュのすべて)
○主演男優賞=浅野忠信(殺し屋1)
○主演女優賞=夏川結衣(アカシアの道)
○新人監督賞=渡辺一志(19)■コメント
10代の子たちを描いた力作が多いのが印象的な1年でした。女優賞は『光の雨』の裕木奈江もとてもよかったのですが、『DISTANCE』でも素晴らしかった夏川結衣に。浅野忠信はあいかわらず天才だ。
桂千穂(脚本家)
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1 ターン
2 日本の黒い夏[冤罪]
3 ココニイルコト
4 ウォーターボーイズ
5 空の穴
6 非・バランス
7 極道の妻たち 地獄の道づれ
8 光の雨
9 QUARTET カルテット
10 張り込み○監督賞=平山秀幸(ターン)
○主演男優賞=寺島進(空の穴)
○主演女優賞=裕木奈江(光の雨)
○新人監督賞=冨樫森(非・バランス)■コメント
今年は『ターン』を10点とすると、7点ぐらいの作品が15本ぐらいあり、そんなに傑出したものはなくても水準より上をいく佳作が多かったと思う。『リリィ・シュシュのすべて』『案山子』『東京マリーゴールド』『EUREKA』『みすゞ』『連弾』などがそれです。『光の雨』の裕木奈江のいつもと別人のような精緻な演技に驚いた。寺島進はいろいろ出ていてみんな平均以上だが、『みすゞ』の夫の役と『空の穴』というあの長尺をひとりで支えたのに関心した。新人監督賞は『ココニイルコト』の長沢氏も考えたのだが、その後作られた超大作合作アクションを見、百年の恋が一気にさめてしまい『非・バランス』の富樫さんにシフト。
木全公彦(映画評論家・ライター)
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1 風花
2 GO
3 SELF AND OTHERS
4 トーキョー×エロチカ 痺れる快楽
5 満山紅柿 上山 柿と人のゆきかい
6 クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲
7 回路
8 痴漢電車・さわってビックリ!
9 リムジン・ドライブ
10 濡れる美人妻・ハメられた女○監督賞=相米慎二(風花)
○主演男優賞=窪塚洋介(GO)
○主演女優賞=真中瞳(ココニイルコト)
○新人監督賞=行定勲(GO)■コメント
昨年に限定的な現象ではないが、ここ数年の映画を取り巻く環境について改めて総括しようとすれば、あたかも裸の王様が裸であることを誰も見て見ぬふりをしているような、隠蔽と抑圧が働いているように感じられることから始めなければならない。
映画に対してまともな研究も批評もほとんど皆無という現在の状況に比して、旧態以前のゲームの規則しか持ちえていないベストテンなるお祭りに、いかなる価値を見出すことが可能なのか。ベストテンに限らず、ここにきて映画雑誌が足並みを揃えて始めたかのような星取りも、それなりの意義を見出すことができても、なにも右に倣えでどこの雑誌も同じことをやらなくてもいいものだと思うのだが、結局同じようなスタイルをとってしまうのはなぜだろうか、と思う。ならば与えられた制約と規則の中で自ら戦略を持ちうるならまだしも、アモス・ギタイの「キプールの追憶」の星取りで「アモス・ギタイはずっと興味のある映画作家だったが、はじめて出逢ったのがこの作品」(キネマ旬報2001年12月下旬号)といったような、自らの怠惰と無知をわざわざ宣伝するようなコメントを「プロ」が書くこともなかろうに、と思ってしまう。
切通理作(文筆業)
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1 新・したがる兄嫁 ふしだらな関係
2 トーキョー×エロチカ 痺れる快楽
3 殺し屋1
4 少女~an adolescent~
5 月曜日の不倫妻 性欲まみれ
6 いきすだま~生霊~
7 NN-891102
8 回路
9 PAIN ペイン
10 STACY○監督賞=鈴木清順(ピストルオペラ)
○主演男優賞=江端英久(新・したがる兄嫁 ふしだらな関係)
○主演女優賞=加藤夏樹(STACY)
○新人監督賞=ナシ■コメント
少し先に提出した映画芸術のベストテンから、本賞該当作でない大作映画を外して、また映芸では対象になっていない2001年12月公開作品を合わせてベストテンにしました。他には『アヴァロン』『サディスティック&マゾヒスティック』『サトラレ』『神様の愛い奴<決定版>』『完全なる飼育 愛の40日』『アリーテ姫』等が印象的でした。
斉藤ひろし(脚本家)
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(順不同)
○ 裏ゼニ学~法の穴商売~
○ 青い春 or UNCHAIN アンチェイン
○ 風花
○ 回路
○ 忘れられぬ人々
○ 親分はイエス様
○ 赤い橋の下のぬるい水
○ 光の雨
○ 修羅雪姫
○ ビジターQ○監督賞=三池崇史(ビジターQ)
○主演男優賞=村上淳(人間の屑)
○主演女優賞=麻生久美子(回路)
○新人監督賞=佐藤信介(修羅雪姫)■コメント
麻生久美子はテレビドラマ『喪服のランデヴー』でも素晴らしかったです。『裏ゼニ学』シリーズの金田敬監督など、面白い監督はまだまだいると思うのですが、当方の怠慢で見逃している良い作品、沢山あると思います。
※『青い春』は年度違いにより『UNCHAIN アンチェイン』を採用しました。(日プロ事務局)高橋洋(脚本家)
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1 ピストルオペラ
2 レディ プラスティック
3 恋愛ピアノ教師 月光の戯れ
4 桶屋
5 天国から来た男たち
6 SELF AND OTHERS
7 異常性欲団地妻
8 夜の哀しみ
9 実録外伝 ゾンビ極道
10 どんてん生活○監督賞=鈴木清順(ピストルオペラ)
○主演男優賞=山本浩司(どんてん生活)
○主演女優賞=小嶺麗奈(レディ プラスティック)
○新人監督賞=山田広野(異常性欲団地妻)■コメント
誰からも望まれずに生まれながら、しかしひとたび見てしまえば人はアッとその面白さに気づく(だろう)、そういう手触り感のあるものを選んでみた。面白さとは新たに見出されるものではなく、むしろ誰もが実はずっと知っていた感覚を翻然と取り戻す体験に近い。ゆえに根源的なのだ。私にとってその手がかりとなるのは自主映画であって、よって面白い映画には誰からも望まれぬ孤独の影がある。しかしながら、かかる孤高の活力を最も維持しているのは、やはりチュー・イェンピンを擁する香港・台湾映画界ではないかと最近ますます思えてきた。
谷岡雅樹(Vシネアスト)
選評を読む
1 光の雨
2 非・バランス
3 ハッシュ!
4 リリィ・シュシュのすべて
5 ウォーターボーイズ
6 殺し屋1
7 実録 夜桜銀次
8 サディスティック&マゾヒスティック
9 空の穴
10 闇を掘る○監督賞=高橋伴明(光の雨)
○主演男優賞=鳥肌実(Stereo Future)
○主演女優賞=笛木夕子(新・雪国)
○新人監督賞=冨樫森(非・バランス)■コメント
『明日を殴れ!』というVシネマが2001年に発売されたが、何の話題にもされなかった。これを私が観てくれと言ったところで、ただこれを観て、この1本について語る。そんな評価や姿勢はうれしくも何ともない。Vシネマが作品群としてグロスで見られるということがないように、日本映画自体がビデオ店の中では洋画の話題作の数段下位に認識されているし、映画自体がもうとっくに世界から相手にされていない。それゆえか「世間なんて関係ない」という作家たちが現れ作る。それはそれで勝手だが、世間と関わるということにおける映画の魂を皆が皆忘れたわけでもないということを未だ確認するような作業としてしか機能しなくなってきたベストテン選出というものも二分すべきではないか。「キネマ旬報」や「映画芸術」の激減した現在の発行部数程度を相手にするのは気楽だろうが、世間を相手にする気があるなら、私が言い出しぺになる。この指止まれ。
中村勝則(映画ライター)
選評を読む
1 ウォーターボーイズ
2 ココニイルコト
3 非・バランス
4 あしたはきっと…
5 赤い橋の下のぬるい水
6 ピストルオペラ
7 風花
8 ターン
9 天国から来た男たち
10 岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説 EPISODE1○監督賞=矢口史靖(ウォーターボーイズ)
○主演男優賞=窪塚洋介(GO、溺れる魚)
○主演女優賞=江角マキコ(ピストルオペラ)
○新人監督賞=長澤雅彦(ココニイルコト)樋口尚文(映画評論家・電通CMプランナー)
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1 BROTHER
2 ピストルオペラ
3 回路
4 走れ!イチロー
5 リリィ・シュシュのすべて
6 DISTANCE
7 ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
8 ウォーターボーイズ
9 ハッシュ!
10 告別○監督賞=岩井俊二(リリィ・シュシュのすべて)
○主演男優賞=真田広之(真夜中まで)
○主演女優賞=田中麗奈(東京マリーゴールド)
○新人監督賞=行定勲(贅沢な骨)■コメント
『風花』は別格なので入れていない。ここには入っていないが、『光の雨』はたいへん気になった。あの作品はダイレクトな連赤へのアプローチにならなかったので団塊の世代以上には特に辛く見られているようだが、あそこまで頑張って破綻した作品が誹謗されて、一方では『GO』がほめ殺しにされているのは、ともに違和感がある。という自分もキネ旬で『GO』を誉めまくったけれども、いくらなんでもこんなに行定勲を希望の星にしてしまうのは、本人がカワイソーである。受賞ラッシュは何かの間違いと思って、もっとムチャしてもらわなければ。ということで、行定勲は入れてるけれど、『GO』は謹んで外した。本年の10本は、この1本がずばぬけている、というものはないけれど、どれも巨匠も中堅も若手も、ぜんぶクセありで面白かった。
細谷隆広(アルゴピクチャーズ・プロデューサー)
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1 どんてん生活
2 ボディドロップアスファルト
3 回路
4 トーキョー×エロチカ 痺れる快楽
5 団地妻 隣りのあえぎ
6 濡れる美人妻 ハメられた女
7 あしたはきっと…
8 ピストルオペラ
9 空の穴
10 PAIN ペイン○監督賞=山下敦弘(どんてん生活)
○主演男優賞=山本浩司(どんてん生活)
○主演女優賞=ナシ
○新人監督賞=ナシ
○新人賞=藤本由佳(PAIN ペイン)堀口慎(東宝映画・プロデューサー)
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1 EUREKA(ユリイカ)
2 殺し屋1
3 ビジターQ
4 天国から来た男たち
5 まぶだち
6 忘れられぬ人々
7 贅沢な骨
8 非・バランス
9 女学生の友
10 完全なる飼育 愛の40日○監督賞=青山真治(EUREKA(ユリイカ)、路地へ)
○主演男優賞=寺島進(空の穴、BROTHER)
○主演女優賞=麻生久美子(贅沢な骨、回路)
○新人監督賞=冨樫森(非・バランス)■コメント
候補作品の中で、『風花』『回路』『BROTHER』『ウォーターボーイズ』を除外したうえでの選考。この他、『リリィ・シュシュのすべて』『空の穴』『ココニイルコト』『波』『富江 リバース』『青~chong~』『東京ハレンチ天国さよならのブルース』等も印象に残った。ピンク映画は2001年も見ることが出来なかった。演技賞では、三橋達也(『忘れられぬ人々』)、遠藤憲一(『ビジターQ』『天国から来た男たち』)、大森南朋(『殺し屋1』『QUARTET カルテット』)、裕木奈江(『光の雨』)、小林麻子(『波』)といった方々のことも考えたのだが。
桝井省志(アルタミラピクチャーズ・プロデューサー)
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1 光の雨
2 案山子 KAKASHI
3 連弾
4 回路
5 赤い橋の下のぬるい水
6 風花
7 忘れられぬ人々
8 あしたはきっと…
9 非・バランス
10 ハッシュ!○監督賞=矢口史靖(ウォーターボーイズ)
○主演男優賞=竹中直人(連弾)
○主演女優賞=清水美砂(赤い橋の下のぬるい水)
○新人監督賞=冨樫森(非・バランス)■コメント
昨年も未見の作品も多く、傑作を見逃しているかもしれません。仲間の映画製作者に失礼をお許し下さい。自身で製作した『ウォーターボーイズ』をベスト10に選出することはフェアでないと判断し自粛しましたが、しかしながら矢口監督個人に対しては熱き一票を投じます。昨年選んだので『青~chong~』は、今年はベスト10には遠慮しましたが、『GO』以上に評価されるべき作品だと思いますが。故相米慎二監督、高橋伴明監督、黒沢清監督等、旧ディレクターズカンパニー・三監督の新作を見れたことに感謝。今年は、ぜひ井筒和幸監督、榎戸耕史監督作品を待ってマース!
森本英利(ぴあ・PFF事務局プロデューサー)
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(順不同)
○ EUREKA(ユリイカ)
○ 風花
○ 回路
○ DISTANCE
○ ELECTRIC DRAGON 80000V
○ ウォーターボーイズ
○ 忘れられぬ人々
○ 空の穴
○ ハッシュ!
○ まぶだち○監督賞=橋口亮輔(ハッシュ!)
○主演男優賞=寺島進(空の穴)
○主演女優賞=片岡礼子(ハッシュ!)
○新人監督賞=熊切和嘉(空の穴)■コメント
ベストテンに順位はありません。また、1監督につき、1作品で選出しています。