「第29回(2019年度)日本映画プロフェッショナル大賞」(日プロ大賞、主催・日プロ大賞実行委員会、実行委員長・大高宏雄)が決定しました。
今回は、今年が2020年という節目の年ということもあり、恒例の年間ベストテン(2019年度)に加え、2010年代の10年間の日本映画を振り返る選出を行いました。
2010年代では、2010年1月1日から2019年12月31日までの公開作品を対象としました。ベストテンとともに、この10年間の日本映画界で、もっとも影響力のあったを映画人を選ぶ「ムービーMVP・オブ・2010年代」を設定。その最優秀作品賞に、「ハッピーアワー」(監督・濱口竜介、2015年)。ムービーMVPに、同作品などの濱口竜介監督が決まりました。2019年度では、真利子哲也監督の「宮本から君へ」が作品賞を受賞しました。
2010年代を代表する作品になった「ハッピーアワー」は、上映時間が5時間を超える作品。神戸を舞台に、30代後半の4人の女性たちがかかえる様々な問題を、ユニークな場の設定、独特な会話劇などを通して描いています。
2019年度作品賞の「宮本から君へ」は、真利子哲也監督の渾身の作品。恋人のレイプ事件をはさんだ男女2人の苛烈な関係を描いています。すでに各映画賞で、真利子監督や主演の池松壮亮さんらが受賞していますが、作品賞の受賞は国内初となりました。
今回の選考委員は、プロデューサー、脚本家、新聞記者、映画館関係者、映画評論家ら27名。授賞式は、昨今の情勢を考慮して、開催時期は未定となっています。
今回、お詫びしなければならないことがあります。選考にあたり、お一方の選考委員の評を入れずに集計し、発表してしまいました。改めて集計した結果、下記のようになりましたので、訂正してお伝えさせていただきます。発表時と順位が違っておりますこと、作品の関係者、選考委員、多くの支援者の皆さまにお詫びいたします。大変申し訳ありませんでした。
ムービーMVP・オブ・2010年代
濱口竜介監督
「ハッピーアワー」「寝ても覚めても」「親密さ」など監督
2010年代(2010〜19年)ベストテン
- 1位
ハッピーアワー(2015年)
監督:濱口竜介 - 2位
ヘヴンズ ストーリー(2010年)
監督:瀬々敬久 - 3位
サウダーヂ(2011年)
監督:富田克也 - 4位
百円の恋(2014年)
監督:武正晴 - 4位
淵に立つ(2016年)
監督:深田晃司 - 6位
恋人たち(2015年)
監督:橋口亮輔 - 7位
寝ても覚めても(2019年)
監督:濱口竜介 - 8位
勝手にふるえてろ(2014年)
監督:大九明子 - 8位
横道世之介(2013年)
監督:沖田修一 - 10位
冷たい熱帯魚(2011年)
監督:園子温
2019年度ベストテン
- 1位
宮本から君へ
監督:真利子哲也 - 2位
よこがお
監督:深田晃司 - 3位
岬の兄妹
監督:片山慎三 - 4位
愛がなんだ
監督:今泉力哉 - 5位
さよならくちびる
監督:塩田明彦 - 6位
半世界
監督:阪本順治 - 7位
嵐電
監督:鈴木卓爾 - 8位
ひとよ
監督:白石和彌 - 9位
旅のおわり世界のはじまり
監督:黒沢清 - 10位
メランコリック
監督:田中征爾
選考委員
足立喜之(会社員)
選評を読む
■2019年
1. 半世界
2. 岬の兄妹
3. 旅のおわり世界のはじまり
4. 火口のふたり
5. 凪待ち
6. メランコリック
7. 閉鎖病棟 それぞれの朝
8. 泣くな赤鬼
9. ひとよ
10.洗骨
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 大林宣彦
2. 白石和彌
3. 荒井晴彦
■2010年代
1. 花筐
2. 彼女がその名を知らない鳥たち
3. この世界の片隅に
4. そこのみにて光輝く
5. くちづけ
6. この空の花 長岡花火物語
7. 半世界
8. 大鹿村騒動記
9. 0.5ミリ
10.野のなななのか
■コメント
16ミリの自主映画時代、メジャーの邦画で撮り続けた80年~2000年代、そして2010年代から始まる地方舞台の「この空の花-長岡花火物語-」「野のなななのか」「花筐」 の古里映画三部作。 時代とともに様々な作品を発表し続けたが、 決して流行に嵋びる事なくご本人が時代を開拓した感さえある。 常に近くで見せて頂いたその凄まじきバワー、大林ワールドはいつも驚愕させられる!石飛徳樹(新聞記者)
選評を読む
■2019年
1. 宮本から君へ
2. 嵐電
3. よこがお
4. ひとよ
5. 真実
6. アルキメデスの大戦
7. タロウのバカ
8. 町田くんの世界
9. ダンスウィズミー
10.ブルーアワーにぶっ飛ばす
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 是枝裕和
2. 濱口竜介
3. 石井裕也
■2010年代
1. バンクーバーの朝日
2. ハッピーアワー
3. そして父になる
4. 冷たい熱帯魚
5. 宮本から君へ
6. へヴンズ ストーリー
7. 悪人
8. 桐島、部活やめるってよ
9. 十三人の刺客
10.シン・ゴジラ
■コメント
本年のベストテンは一応、キネマ旬報ベスト・テン1位の 「火口のふたり」も除外して選んだ。容赦ない暴力の炸裂を描いた問題作が目立っていた。そんな中から「宮本から君へ」を2010年代ベストテンに入れた。 MVPの3人はベストスリー映画を撮った監督を並べた。いずれも国際的活躍をする監督だが、カンヌのパルムドールに敬意を表した。 3人とも、 ほかにも10本に入る作品が複数あったが、 1人1本という枷をはめてみた。磯島治之(編集者)
選評を読む
■2019年
1. 愛がなんだ
2. 半世界
3. よこがお
4. 旅のおわり世界のはじまり
5. こおろぎ
6. ひとよ
7. さよならくちびる
8. 凪待ち
9. 宮本から君へ
10.夕陽のあと
■ムービーMVP・オブ・2010年代
濱口竜介
白石和彌
大根仁(順位なし)
■2010年代
1. ハッピーアワー
2. 幼な子われらに生まれ
3. 孤狼の血
4. 寝ても覚めても
5. 湯を沸かすほどの熱い愛
6. リップヴァンウィンクルの花嫁
7. 劇場版神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まない
8. フラッシュバックメモリーズ3D
9. 監督失格
10.八日目の蝉
■コメント
「深海に生きる魚族のように自ら燃えなければどこにも光はない」(大島渚監督の墓石にも刻まれている詩人・明石海人の詩)。2010年代、デジタルカメラの進化により、誰もが自分の思う映画を作れる可能性は飛躍的に高まった。構想はあるのだけど、形にできないというかつての状態ではなくなった。しかし、そこで各作り手が強烈な光を放てたかどうか、これは別問題である。私が10年代に見た独自の強い光を放つ作品を選んだみた。伊藤さとり(映画パーソナリティ)
選評を読む
■2019年
1. 宮本から君へ
2. よこがお
3. メランコリック
4. 赤い雪 Red Snow
5. 町田くんの世界
6. 僕はイエス様が嫌い
7. 岬の兄妹
8. 半世界
9. デイアンドナイト
10.タロウのバカ
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 是枝裕和
2. 白石和彌
3. 河村光庸
■2010年代
1. 彼女がその名を知らない鳥たち
2. 百円の恋
3. 凶悪
4. 万引き家族
5. 宮本から君へ
9. 勝手にふるえてろ
7. よこがお
8. 横道世乃介
9. 愚行録
10.寝ても覚めても
■コメント
2010年代は、 面白い才能が多く見られ、 2010年に 「ロストパラダイス・イン・トーキョー」長編映画デビューを果たした白石和彌監督の才能が「凶悪」で認められ、日本映画賞の常連になるほどの存在になりました。また、「君の名は。」により、若い世代に新海誠監督の名は広がり、大人達には「この世界の片隅に」で片渕須直監督が、日本のアニメーション映画界には才能溢れる監督がいることを再確認する時代になりました。
もちろん、オリジナル脚本を書き続け、映画化し、編集、監督というほぼ全ての作業にこだわりぬき、「万引き家族」で世界的に名を残すことになった是枝裕和監督の努力と才能による功績は素晴らしいものでした。臼井一郎(元ヒューマックスシネマ)
選評を読む
■2019年
1. ひとよ
2. i-新聞記者ドキュメント
3. 閉鎖病棟 それぞれの朝
4. 赤い雪 Red Snow
5. 愛がなんだ
6. 半世界
7. 凪待ち
8. 長いお別れ
9. アンダー・ユア・ベッド
10.さよならくちびる
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 若松孝二
2. ピンク映画から育った監督たち
3. ケイズシネマ
■2010年代
1. へヴンズストーリーズ
2. サウダーヂ
3. 共食い
4. 11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち
5. あゝ荒野
6. 0.5ミリ
7. 1枚のハガキ
8. かぞくのくに
9. 三里塚に生きる
10.恋人たち大高健志(モーションギャラリー)
選評を読む
■2019年
1. 宮本から君へ
2. よこがお
3. 主戦場
4. 解放区
5. 嵐電
6. ワイルドツアー
7. 愛がなんだ
8. 岬の兄妹
9. i-新聞記者ドキュメント
10.カンパイ!日本酒に恋した女たち
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 是枝裕和
2. 河村光庸
3. 市山尚三
■2010年代
1. バンコクナイツ
2. ハッピーアワー
3. 八日目の蝉
4. アウトレイジ
5. そして父になる
6. 淵に立つ
7. 岸辺の旅
8. ピジランテ
9. るろうに剣心
10.カメラを止めるな!大高宏雄(日プロ大賞実行委員長、映画ジャーナリスト)
選評を読む
■2019年
1. 宮本から君へ
2. 旅のおわり世界のはじまり
3. 男はつらいよ お帰り寅さん
4. ひとよ
5. 愛がなんだ
6. 火口のふたり
7. 凪待ち
8. 天然☆生活
9. カスリコ
10.老人ファーム
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 川村元気
2. 濱口竜介
3. 白石和彌
■2010年代
1. 0.5ミリ
2. ハッピーアワー
3. 恋人たち
4. 監督失格
5. ぼっちゃん
6. もらとりあむタマ子
7. SHARING
8. フラッシュバックメモリーズ3D
9. 百円の恋
10.恋の罪大塚史貴(映画ドットコム副編集長)
選評を読む
■2019年
1. 人間失格 太宰治と3人の女たち
2. 宮本から君へ
3. ホットギミック ガールミーツボーイ
4. 凪待ち
5. 岬の兄妹
6. ひとよ
7. 多十郎殉愛記
8. タロウのバカ
9. 町田くんの世界
10. おいしい家族
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 樹木希林さん(2010年代実に20本以上の映画に出演。最期まで常に映画界を𠮟咤)
2. 是枝裕和監督(「奇跡」を皮切りに7本を発表。「万引き家族」はカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞するなど世界が注目する監督に)
■2010年代
1. 横道世之介
2. リップヴァンウィンクルの花嫁
3. ペコロスの母に会いに行く
4. 私の男
5. 悪人
6. 百円の恋
7. 人間失格 太宰治と3人の女たち
8. 野火
9. 桐島、部活やめるってよ
10. そこのみにて光輝く、ハッピーアワー(同率2本)荻野洋一(番組等映像演出、映画評論家)
選評を読む
■2019年
1. こおろぎ
2. チワワちゃん
3. 嵐電
4. 梨君たまごと牙のゆくえ
5. 殺さない彼と死なない彼女
6. まく子
7. ひかりの歌
8. ホットギミック ガールミーツボーイ
9. アンダー・ユア・ベッド
10. ある船頭の話
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 濱口竜介
2. 空族
3. 矢崎仁司
■2010年代
1. 親密さ
2. サウダーヂ
3. くちびるに歌を
4. SHARING
5. STILL LIFE OF MEMORIES
6. ダゲレオタイプの女
7. ニシノユキヒコの恋と冒険
8. 横道世之介
9. 食卓の肖像
10. リップヴァンウィンクルの花嫁
■コメント
2019年ベストは日刊スの「新聞記者」、報知、毎日の「蜜蜂と遠雷」、キネ旬の「火口のふたり」を除外しつつシェイクし直してベストを作ると、ひどくラディカルなリストとあいなった。なにしろ青山真治の未公開旧作「こおろぎ」が1位、「チワワちゃん」が2位という・・・。
演者どうしの浮気スキャンダルはどうでもよろしい。とにかく2010 年代における濱ロ竜介の奮闘ぶりをこそ、今この時こそ称揚しなければ。加藤敦(北海道新聞記者)
選評を読む
■2019年
1. さよならくちびる
2. 火口のふたり
3. 旅のおわり世界のはじまり
4. こどもしょくどう
5. 岬の兄妹
6. 宮本から君へ
7. よこがお
8. ひとよ
9. 半世界
10. 男はつらいよ お帰り寅さん
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 中島貞夫
2. 瀬々敬久
3. 函館・シネマアイリスの菅原和博代表
■2010年代
1. キツツキと雨
2. 舟を編む
3. あゝ荒野(前編・後編)
4. 勝手にふるえてろ
5. そこのみにて光輝く
6. 淵に立つ
7. 日日是好日
8. 海炭市叙景
9. 百円の恋
10. オーバー・フェンス
■コメント
2019年の①には塩田作品としては「月光の囁き」以来の「いつまでも見ていたい」感覚を覚えました。②は個人と全体の対立を描いて秀逸な、現代の「愛のコリーダ」。④と⑤は似た境遇にありながら社会との関わり方がまったく異なる、合わせて見るべき作品。MVPは熊切和嘉、山下敦弘ら今を支える監督陣を育てた中島貞夫監督、同様にピンク映画で育てた人材が活躍する瀬々敬久監督、函館出身・佐藤泰志原作の傑作ぞろいの4本を函館で製作した菅原和博プロデューサー。上島春彦(映画批評)
選評を読む
■2019年
1. さよならくちびる
2. 町田くんの世界
3. ひかりの歌
4. 空の瞳とカタツムリ
5. 長いお別れ
6. 月極オトコトモダチ
7. 天気の子
8. 多十郎殉愛記
9. 嵐電
10. バースデーワンダーランド
■ムービーMVP・オブ・2010年代
荒井晴彦
瀬々敬久
黒沢清
■2010年代
1. SHARING
2. 甘い鞭
3. 菊とギロチン
4. 幼な子われらに生まれ
5. 岸辺の旅
6. 君の名は。
7. この世界の片隅に
8. チョコリエッタ
9. 教誨師
10. 中学生円山
■コメント
第一位の『SHAR I NG』は当時キネ旬の締め切り日までに見られなかった作品。今回ようやく入れられてほっとしている。ドストエフスキー的な主題と世界の崩壊という物語は相性が良い。どれがベストワンでも個人的には満足な作品ばかりだが、八、九、十位は出来上がりに見合った評価がなされなかった作品なので是非入れておきたかった。素人の愚劣なネット批評の数々を見るにつけ、我が身の非力を感ぜざるを得ない日々である。河本清順(シネマ尾道支配人)
選評を読む
■2019年
1. 赤い雪 Red Snow
2. 狼煙が呼ぶ
3. 宮本から君へ
4. お嬢ちゃん
5. チワワちゃん
6. ある船頭の話
7. タロウのバカ
8. 洗骨
9. 旅のおわり世界のはじまり
10. メランコリック
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 深田晃司
2. 横浜聡子
3. 二宮健
■2010年代
1. パーマネント野ばら
2. アウトレイジ
3. この空の花 長岡花火物語
4. 菊とギロチン
5. 淵に立つ
6. 海よりもまだ深く
7. かぞくのくに
8. 映画 聲の形
9. 寝ても覚めても
10. おばあちゃん女の子古賀重樹(新聞記者)
選評を読む
■2019年
1. さよならくちびる
2. 嵐電
3. 火口のふたり
4. 旅のおわり世界のはじまり
5. よこがお
6. 岬の兄妹
7. 宮本から君へ
8. 半世界
9. 麻雀放浪記2020
10. 盆唄
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 富田克也
2. 濱口竜介
3. 深田晃司
■2010年代
1. サウダーヂ
2. ハッピーアワー
3. KOTOKO
4. 海よりもまだ深く
5. 冷たい熱帯魚
6. 菊とギロチン
7. 恋人たち
8. 岸辺の旅
9. SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者
10. 淵に立つ
■コメント
2010年代とは何だったのか?90年代が失われた10年なら、00年代はさらに失われ、10年代はなおさら失われた10年か。どこまでも坂道を落ちていく中でもがく人間が、現在40代の富田、濱口、深田が撮った「サウダーヂ」「ハッピーアワー」「淵に立つ」には確かに映っていた。50代による「KOTOKO」「海よりもまだ深く」「冷たい熱帯魚」にもしかり。閉塞状況を突破するのは凶暴な才能だ。それは映画作家にしか求められないのではないか。小張アキコ(映画評論家)
選評を読む
■2019年
1. 宮本から君へ
2. 翔んで埼玉
3. ある船頭の話
4. 岬の兄妹
5. アルキメデスの大戦
6. 僕はイエス様が嫌い
7. こどもしょくどう
8. メランコリック
9. 居眠り磐音
10. モデル 雅子を追う旅
■2010年代
1. 桐島、部活やめるってよ
2. 凶悪
3. イエロー・キッド
4. 万引き家族
5. 孤高のメス
6. カメラを止めるな!
7. 愛の渦
8. バクマン
9. 百円の恋
9. ナイアガラ
10. 箱入り息子の恋
■コメント
2010年代の日本映画は「万引き家族」がカンヌで最高賞を取り、その後、是枝裕和がカトリーヌ・ドヌーヴ主演にフランスで「真実」を撮りあげたことだ。21世紀のベスト1は今のところ「歩いても 歩いても」だが、10年代ベスト1に推す「桐島、部活やめるってよ」については、まず無名の大学生の同名小説に新人賞を出した文壇を評価したい。20年代の日本映画に期待することは、俳優たちのさらなる国際的な活躍。昨年見た映画で印象に残っているのは「ミッドウェイ」の山本五十六役の豊川悦司。佐藤佐吉(映画監督、脚本家、俳優)
選評を読む
■2019年
1. 宮本から君へ
2. 愛がなんだ
3. ひとよ
4. やりたいふたり
5. 天気の子
6. HUMAN LOST 人間失格
7. ホットギミック ガールミーツボーイ
8. 岬の兄妹
9. メランコリック
10. 解放区
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 新海誠
2. 木下直哉
3. 川村元気
■2010年代
1. おとぎ話みたい
2. かぐや姫の物語
3. シン・ゴジラ
4. こっぴどい猫
5. 愚行録
6. ヒーローショー
7. 告白
8. 君の名は。
9. ディストラクション・ベイビーズ
10. 凶悪徐昊辰(映画ジャーナリスト)
選評を読む
■2019年
1. ウィーアーリトルゾンビーズ
2. 岬の兄妹
3. 宮本から君へ
4. 福島が語る
5. 海獣の子供
6. 多十郎殉愛記
7. 僕はイエス様が嫌い
8. 町田くんの世界
9. お嬢ちゃん
10. ⅰ‐新聞記者ドキュメント
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 是枝裕和
2. 川村元気
3. 安藤サクラ
■2010年代
1. かぐや姫の物語
2. 花筐
3. ハッピーアワー
4. 恋人たち
5. 淵に立つ
6. 野火
7. 奇跡
8. 百円の恋
9. ニッポン国VS泉南石綿村
10. 桐島、部活やめるってよ
■コメント
2019年の日本映画は特に 〝これだ!〟という作品がないですが、若手監督の活躍は特に印象に残っている。 世界中の映画祭を席巻した 「ウィーアーリトルゾンビーズ」 や、 ポン・ジュノの助監督も経験した片山慎三監督の 「岬の兄妹」 など、 今後日本映画界の可能性を感じた。 一方、 10年代で日本映画界のMVP に関して、やはり世界が認める是枝裕和監督、メガヒットメーカーの川村元気、そして地道に頑張る安藤サクラを挙げたい。鈴木淳(コンテンツ・アドバイザー)
選評を読む
■2019年
1. 宮本から君へ
2. ひとよ
3. 愛がなんだ
4. 町田くんの世界
5. よこがお
6. 閉鎖病棟 それぞれの朝
7. 洗骨
8. 翔んで埼玉
9. こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
10. 見えない目撃者
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 園子温
2. 瀬々敬久
3. 石井裕也
■2010年代
1. ヘヴンズストーリー
2. 冷たい熱帯魚
3. ハッピーアワー
4. ディストラクション・ベイビーズ
5. 恋人たち
6. 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
7. 勝手にふるえてろ
8. 彼女の人生は間違いじゃない
9. 寝ても覚めても
10. 生きてるだけで、愛。
■コメント
①②は、両監督の熱い想いが全編にみなぎっていた。③は、究極の片想い女を演じた岸井ゆきのにやられました。④新人俳優の起用がはまり、見事な世界でした。⑤⑥主演の筒井真理子、助演の渋川清彦に尽きます。⑦淡々とした描写で深く心にしみる演出だった。⑧⑨両作品とも久々に劇場で笑い包まれました。⑩韓国映画のリメークの本作品、突っ込みところはあるが、吉岡里帆がとにかく頑張った。進藤良彦(映画・ドラマ批評)
選評を読む
■2019年
1. 漫画誕生
2. よこがお
3. 空の青さを知る人よ
4. 月極オトコトモダチ
5. 楽園
6. 十二人の死にたい子どもたち
7. 嵐電
8. ザ・ファブル
9. ブルーアワーにぶっ飛ばす
10. 任侠学園
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 大根仁
2. 松居大悟
3. 沖田修一
■2010年代
1. モテキ
2. 私たちのハァハァ
3. この空の花 長岡花火物語
4. 鈴木先生
5. 横道世之介
6. 勝手にふるえてろ
7. 僕たちは世界を変えることができない。But,we wanna build a school in Cambodia.
8. 遺体 明日への十日間
9. 奇跡
10. TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ
■コメント
2010年代ベストテンは収拾つかなくなるのが目に見えていたので、候補を大まかにリストアップした段階で、各年度のキネマ旬報のベストテンに入選している作品はすべて外すことに決めた。 が、 2010年代の最高傑作 「モテキ」は唯一の例外として首位に。結果「シン・ゴジラ」 「リップヴァンウインクルの花嫁」など時代の代表作がいくつも消えたが、逆にここに残った顔触れがなぜキネ旬でテンに入らなかったのか、不思議でならない。高崎俊夫(編集者・映画評論家)
選評を読む
■2019年
1. お嬢ちゃん
2. よこがお
3. 悪の華
4. 半世界
5. 嵐電
6. 岬の兄妹
7. さよならくちびる
8. 旅のおわり世界のはじまり
9. アンダー・ユア・ベッド
10. 盆歌
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 三宅唱
2. 吉田恵輔
3. 深田晃司
■2010年代
1. ヒーローショー
2. ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う
3. ハッピーアワー
4. きみの鳥はうたえる
5. Sweet Sickness スウィート・シックネス
6. 団地
7. 幼な子われらに生まれ
8. 愛しのアイリーン
9. 淵に立つ
10. おとぎ話みたい
■コメント
もともと懐古的な人間なので、 ついこの間の2010年代のベストテンといわれてもあまりピンとこない。むしろ1970 ~ 80年代の映画シーンの記憶を共有している井筒和幸、石井隆の新作を早く観たいという思いはことのほか強いのだが、日本映画の未来ということでいえば、この若手の三人の監督に期待をつなげたい。それにしても、あの素晴らしい「スウィート・シックネス」を撮った西村晋也は、今、どうしているのだろうか。寺脇研(映画評論家、プロデューサー)
選評を読む
■2019年
1. 火口のふたり
2. 岬の兄妹
3. 半世界
4. 宮本から君へ
5. 典座 TENZA
6. 解放区
7. お嬢ちゃん
8. あいが、そいで、こい
9. 世界でいちばん悲しいオーディション
10. 沈没家族 劇場版
■ムービーMVP・オブ・2010年代
河村光庸
荒井晴彦
池松壮亮(順位なし)
■2010年代
1. ヘヴンズストーリー
2. かぞくのくに
3. 夜空はいつでも最高密度の青色だ
4. かぞくへ
5. 海を感じるとき
6. 毎日かあさん
7. この国の空
8. 火口のふたり
9. 戦争と一人の女
10. バット・オンリー・ラヴ
■コメント
わたしにとっての2010年代は、映画を製作する、というそれまで夢想だにしなかった事業を手がけたことに尽きる。「戦争と一人の女」「バット・オンリー・ラヴ」そして20年公開の「子どもたちをよろしく」に心血を注いだ日々が記憶に生々しい。 製作だけでなく配給、 宣伝までやっていく中で、 映画界の姿がはっきり見えてきた。莫大な凡作に囲まれながら乏しい予算をやりくりして力作を生んでいる少数派の映画人に、深く敬意を表したい。中村勝則(映画ライター)
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■2019年
1. 愛がなんだ
2. メランコリック
3. わたしは光をにぎっている
4. 岬の兄妹
5. スペシャルアクターズ
6. 悪の華
7. 宮本から君へ
8. 洗骨
9. 長いお別れ
10. 多十郎殉愛記
■ムービーMVP・オブ・2010年代
城定秀夫
石井裕也
白石和彌(順位なし)
■2010年代
1. 舐める女
2. さんかく
3. チチを撮りに
4. 彼らが本気で編むときは、
5. 凶悪
6. 川の底からこんにちは
7. 歓待
8. ローリング
9. スイートプールサイド
10. おやじ男優Z
■コメント
2019年度については本来の個人ベストテンとほぼ変わりないが、やはり今泉力哉の活躍には目を見張るものがあり、その代表作である「愛がなんだ」を首位にした。 2010年代べ ストテンは迷いに迷った末での結果だが、 ここは一監督一作品として2010年代にデビューまたはプレイクした監督を中心に選んだ。1位の城定秀夫はVシネ作品を含めるとそれだけでベストテンが選べてしまうほど、このメンバーの中ではべテランクラスであろうが、2020年代は劇場映画での更なるプレイクに期待したい。なお、他にも泣く泣くこぼれてしまった作品(監督)も多々あり、2019年度作品はあえて対象から外しました。長野辰次(フリーライター)
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■2019年
1. この世界の(さらにいくつもの)片隅に
2. 全裸監督
3. 解放区
4. 愛がなんだ
5. 悪の華
6. 地獄少女
7. 岬の兄妹
8. 僕はイエス様が嫌い
9. メランコリック
10. アンダー・ユア・ベッド
■ムービーMVP・オブ・2010年代
片渕須直
河村光庸
山田孝之(順位なし)
■2010年代
1. 戦慄怪奇ファイル コワすぎ!最終章
2. 退屈な日々にさようならを
3. ヤクザと憲法
4. 止められるか、俺たちを
5. フラッシュバックメモリーズ3D
6. ヒミズ
7. 獣道
8. 愛の渦
9. みなさん、さようなら
10. リップヴァンウィンクルの花嫁
■コメント
3.11以降の社会を反映した作品が大半を占めた。 「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」は3.11後の不穏な世相を背景にしたホラーシリーズ。 先行きの見えない状況の中で、 真実を探す主人公たちの姿に共感を覚える。 「退屈な日々にさようならを」には、 今泉監督独自の死生観が映し出されている。「死んだことを知らなければ、知らない人の中では生きていることになるのではないか」というヒロインの言葉が忘れられない。映画を撮るという行為は、被写体に永遠の命を与えることなのかもしれない。この国は3.11をまだ総括できずにいる。映画に課せられた役割は少なくない。西田宣善(オムロ代表、ミヤオビピクチャーズプロデューサー)
選評を読む
■2019年
1. 嵐電
2. 愛がなんだ
3. よこがお
4. さよならくちびる
5. カツベン
6. 多十郎殉愛記
7. 新聞記者
8. 主戦場
9. 半世界
10. 長いお別れ
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 深田晃司
2. 三島由紀子
3. 庵野秀明
■2010年代
1. 淵に立つ
2. シン・ゴジラ
3. 幼な子われらに生まれ
4. ヘヴンズストーリー
5. 共喰い
6. スイートリトルライズ
7. この世界の片隅に
8. 風立ちぬ
9. きみの鳥はうたえる
10. 嵐電
■コメント
全体的に、素直に選んでいったつもりです。
90年代のMVPは、仕事をしたいと思う監督という視点も入っています。藤永一彦(ギンレイボール)
選評を読む
■2019年
1. ホットギミック ガールミーツボーイ
2. 殺さない彼と死なない彼女
3. 宮本から君へ
4. メランコリック
5. ウィーアーリトルゾンビーズ
6. 天然☆生活
7. さよならくちびる
8. 洗骨
9. 屍人荘の殺人
10. 羊とオオカミの恋と殺人
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 濱口竜介
2. 山戸結希
3. 城定秀夫
■2010年代
1. 寝ても覚めても
2. ホットギミック ガールミーツボーイ
3. 恋の渦
4. 勝手にふるえてろ
5. 百円の恋
6. リップヴァンウィンクルの花嫁
7. 岸辺の旅
8. 海街 diary
9. 映画「深夜食堂」
10. 花筺/HANAGATAMI
■コメント
「原点に立ち返る」とは「映画賞やべストテンに漏れてもこの映画 (人) を応援する」 と解して。 2010 年代ベストは新人とべテランのせめぎあいの中から、新しい日本映画の扉を開いてほしいという期待を込めて。 MVPもこの10年最も多く走り遠くまで行ったであろう人々の中から、多くの人々の目標となったに違いない3人の監督を選んだ。堀口慎(日本映画製作者連盟)
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■2019年
1. さよならくちびる
2. 楽園
3. 半世界
4. 宮本から君へ
5. チワワちゃん
6. 殺さない彼と死なない彼女
7. 旅のおわり世界のはじまり
8. 嵐電
9. ブルーアワーにぶっ飛ばす
10. ある船頭の話
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 瀬々敬久
2. 濱口竜介
3. 柄本佑
■2010年代
1. 寝ても覚めても
2. ヘヴンズストーリー
3. サウダーヂ
4. 散歩する侵略者
5. 風立ちぬ
6. 共喰い
7. オーバー・フェンス
8. 恋人たち
9. ディストラクション・ベイビーズ
10. きみの鳥はうたえる
■コメント
2010年代MVPに関して
瀬々敬久はメジャーとインデイベンデントを往還し、 2010 年代に最も自由闊達に映画を作り続けていた作家ではないか?2010年代に登場した作家を代表して濱口竜介を。 彼は「PASSION」 等から 「ハッピーアワー」 を経てカンヌ ・ コンペ出品に至った。 「寝ても覚めても」 もまさにこのディケイ ドを描いた青春群像であった。幾多の才能溢れる若い俳優が出現した中で誰か一人と考え、 日プロの演技賞は受賞していないものの柄本佑の顔が浮かんだ。松崎まこと(映画活動家/放送作家)
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■2019年
1. よこがお
2. メランコリック
3. アンダー・ユア・ベッド
4. デイアンドナイト
5. ウィーアーリトルゾンビーズ
6. 岬の兄妹
7. 愛がなんだ
8. 主戦場
9. 男はつらいよ お帰り寅さん
10. あいが、そいで、こい
■ムービーMVP・オブ・2010年代
1. 吉田大八
2. 園子温
3. 上田慎一郎
■2010年代
1. 桐島、部活やめるってよ
2. 横道世之介
3. 冷たい熱帯魚
4. みなさん、さようなら
5. 百円の恋
6. 野火
7. ケンとカズ
8. 勝手にふるえてろ
9. 空(カラ)の味
10. カメラを止めるな!
■コメント
2010年代は、〝放送作家〟業からぐっと映画寄りにシフトし、やがて肩書に〝映画活動家〟と併記するようになった10年間だった。大きなきっかけとなったのが、吉田大八監督の「桐島、部活やめるって」。批評や応援によって、作品の可能性が広がっていくことを、目の当たりにした。また個人的にインディーズ作品との関わりが深くなっていった10年間でもあり、「カメ止め!」の奇跡は、大きな〝映画的事件として外せない。森直人(映画評論家)
選評を読む
■2019年
1. 岬の兄妹
2. タロウのバカ
3. よこがお
4. 味がなんだ
5. アンダー・ユア・ベッド
6. ウィーアーリトルゾンビーズ
7. お嬢ちゃん
8. チワワちゃん
9. 普通は走り出す
10. 宮本から君へ
■ムービーMVP オブ・2010年代
1. 直井卓俊
2. 川村元気
3. リリー・フランキー
■2010年代
1. 岬の兄妹
2. フラッシュバックメモリーズ3D
3. さんかく
4. おとぎ話みたい
5. ローリング
6. 退屈な日々にさようならを
7. 恋人たち
8. 川の底からこんにちは
9. きみの鳥はうたえる
10. 桐島、部活やめるってよ
■コメント
直近のディケイドはまさに波乱の10年だった。序盤に〝3.11〟があり、復興の旗を掲げつつ、依然ロールモデルなき状況を日本社会も日本映画界も暗中模索で歩んでいる。MVPに関して監督は除外したが、見方によっては是枝裕和や、園子温や、松江哲明や、山戸結希辺りが該当するだろうか。他に押し込みたかった作品は「ヒミズ」「冷たい熱帯魚」「告白」「モテキ」「ディストラクション・べイビーズ」「ビジランテ」「サウダーヂ」等々。