日本映画プロフェッショナル大賞

2026年上半期ベスト5

日本映画プロフェッショナル大賞(日プロ大賞)は、2026年上半期のベスト5を選出しました。

上半期という括りだと、年間とはまた異なる視点が見えてくるのではないか。そのような判断から、行ったしだいです。

年間となると、どうしても前半に公開された作品の記憶が薄れてきます。加えて、秋以降に映画賞を意識した力の入った作品が何本か登場してきます。記憶の鮮度は高いです。そのようなことも含め、上半期という括りにより、見過ごされかねない作品にスポットを当てたい。そう、思いました。

今年1月から6月に公開された作品が対象です。年間作品から選出する毎年の日プロ大賞とは違い、全作品を対象としました。

ベストワンの「急に具合が悪くなる」は、外国資本が入っていますが、選考委員の判断に任せました。6位以降の上位には、「災 劇場版」「POCA PON ポカポン」「金子文子 何が私をこうさせたか」「万事快調〈オール・グリーンズ〉」「LOST LAND ロストランド」などが並びます。

15名の選考委員が挙げている5作品が、映画に関心の高い皆さまのご参考になればと思っております。

選考は、1位を5点、2位以下を4点、3点、2点、1点として、その累計で行いました。

大高宏雄(日本映画プロフェッショナル大賞実行委員長)

上半期ベスト5

  • 1

    急に具合が悪くなる

    監督:濱口竜介

    出演:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三

  • 2

    木挽町のあだ討ち

    監督:源孝志

    出演:柄本佑、渡辺謙、長尾謙杜

  • 3

    メモリィズ

    監督:坂⻄未郁

    出演:柄本佑、イッセー尾形、穂志もえか

  • 4

    黒牢城

    監督:黒沢清

    出演:本木雅弘、菅田将暉、吉高由里子

  • 4

    四月の余白

    監督:𠮷田恵輔

    出演:一ノ瀬ワタル、夏帆、上阪隼人

※4位はポイントが同点のため2作品

選考委員 (15名)

|
  • 大高宏雄(日本映画プロフェッショナル大賞実行委員長、映画ジャーナリスト)

    選評

    ■ベスト5
    1位 災 劇場版
    2位 黒牢城
    3位 四月の余白
    4位 メモリィズ
    5位 木挽町のあだ討ち
    ■コメント
    (なし)

  • 大塚史貴(映画.com編集長)

    選評

    ■ベスト5
    1位 メモリィズ
    2位 木挽町のあだ討ち
    3位 黒牢城
    4位 90メートル
    5位 四月の余白
    ■コメント
    (なし)

  • 荻野洋一(映画評論家、番組等の構成演出)

    選評

    ■ベスト5
    1位 清掃する女 亡霊
    2位 メモリィズ
    3位 急に具合が悪くなる
    4位 90メートル
    5位 椰子の高さ
    ■コメント
    ①『清掃する女 亡霊』は映画のフォーマットそのものを劇的に更新した傑作。④『90メートル』は、難病催涙劇に裏張りされた中川駿監督の繊細にして周到な演出設計にまで目を留めなければならない。②③④と、身近な他者をケアするとは如何なることかに考えを巡らせる作品が並んだ。ベスト5のみならず、気前よくテンまで挙げると、⑥黒牢城 ⑦金子文子 何が私をこうさせたか ⑧POCA PON ポカポン ⑨廃用身 ⑩木挽町のあだ討ち、と並ぶ素晴らしい上半期となった。

  • 河本清順(シネマ尾道支配人)

    選評

    ■ベスト5
    1位 金子文子 何が私をこうさせたか
    2位 急に具合が悪くなる
    3位 木挽町のあだ討ち
    4位 禍禍女
    5位 メモリィズ
    ■コメント
    (なし)

  • 島村卓弥(文化通信社映画部記者)

    選評

    ■ベスト5
    1位 猫を放つ
    2位 メモリィズ
    3位 遺愛
    4位 繰り返す女
    5位 災 劇場版
    ■コメント
    忙しい日が続いた。と言っても、ほんの一ヵ月ほどのことで、すぐに時間が空き、さてさて気になっていた『遺愛』を観に行こうかな、と上映劇場を調べると、すでに都内ではやっておらず、横浜のムービルで観ることになった。20時台の1日1回上映だったように思う。客は300席以上のキャパに10人ほどしかいなかった。良い映画なのに。上には、そのような想いを乗っけた5本が並んでいる。

  • 徐昊辰(映画ジャーナリスト)

    選評

    ■ベスト5
    1位 急に具合が悪くなる
    2位 LOST LAND ロストランド
    3位 郷
    4位 メモリィズ
    5位 木挽町のあだ討ち
    ■コメント
    2026年上半期は、カンヌ国際映画祭をはじめ、世界から日本映画への注目が一段と高まった。『急に具合が悪くなる』『LOST LAND/ロストランド』など国際共同製作の成功も相次ぎ、日本映画の新たな国際的可能性を感じさせる。一方、『木挽町のあだ討ち』などメジャー作品も健闘したが、全体としてはやや物足りなさが残った。

  • 鈴木淳(映像企画・プロデューサー)

    選評

    ■ベスト5
    1位 急に具合が悪くなる
    2位 人はなぜラブレターを書くのか
    3位 木挽町のあだ討ち
    4位 ほどなく、お別れです
    5位 黒牢城
    ■コメント
    次点「恋愛裁判 」

  • 住彩子(中日新聞記者)

    選評

    ■ベスト5
    1位 金子文子 何が私をこうさせたか
    2位 LOST LAND ロストランド
    3位 四月の余白
    4位 木挽町のあだ討ち
    5位 ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。
    ■コメント
    時代と空気、監督の気迫を感じさせる「金子文子」の浜野監督をはじめ、気骨のある監督たちがいてくれることにほっとする。このほかにも、今年はホラーなどの多彩なジャンルで光る邦画が多い。

  • 谷島正之(プロデューサー)

    選評

    ・花緑青が明ける日に
    ・ラプソディ・ラプソディ
    ・廃用身
    ・NEW GROUP
    ・箱の中の羊
    ※順位なし。一律3位扱い。
    ■コメント
    以下、ベスト5には入らないが、次点的な作品としては「ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。」「災 劇場版」「万事快調〈オール・グリーンズ〉」「モブ子の恋」「遺愛」。

  • 長井龍(映画プロデューサー)

    選評

    ■ベスト5
    1位 急に具合が悪くなる
    2位 Returnees(リターニーズ) 元こども兵 それぞれの再起
    3位 四次元悪魔
    4位 木挽町のあだ討ち
    5位 万事快調〈オール・グリーンズ〉
    ■コメント
    PFFの選考に携わり、春、たくさんの新しい映画と出会えてラッキーでした。中でも圧倒されたのが『四次元悪魔』。9月に国立映画アーカイブで上映されるので、前情報なしで、できればタイトルさえ忘れて観てほしいです。タイトルって大事ですね。『急に具合が悪くなる』って良いタイトルだなぁ、と感じながら「対になる言葉は『万事快調』?」なんて勝手に想像を巡らせては、上半期に2作が揃っている奇跡を楽しんでいました。

  • 髭野純(イハフィルムズ/映画制作・配給)

    選評

    ■ベスト5
    1位 急に具合が悪くなる
    2位 万事快調〈オール・グリーンズ〉
    3位 ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。
    4位 PEAK END
    5位 死神バーバー
    ■コメント
    ①は196分の間に3回泣きました。いまの世界に必要なものは「対話」だと思っているのですが、そのひたむきさに胸を打たれました。②③はいずれも素晴らしいキャストと演出そして音楽がマッチした鮮烈な物語で、フィクションだからこそ描ける力強さや美しさがありました。④もまた女性同士の対話を真摯に描いており、思考を止めようとしない姿勢にグッと来ました。なお『猫を放つ』は関係者のため外しましたが傑作です。

  • 藤永一彦(シネマリス副支配人)

    選評

    ■ベスト5
    1位 災 劇場版
    2位 万事快調〈オール・グリーンズ〉
    3位 PEAK END
    4位 黒牢城
    5位 黒の牛
    ■コメント
    他館で見ている映画があまりに少ないです。挙げた映画以外に「木挽町のあだ討ち」「遺愛」、「急に具合が悪くなる」の濱口監督はヌーヴェル・ヴァーグの現在進行形の後継者(リヴェットやストローブやロメールや)になるのでしょうか。「何食わぬ顔」を初めて見ましたが驚きました。

  • 堀口慎(日本映画製作者連盟)

    選評

    ■ベスト5
    1位 急に具合が悪くなる
    2位 黒牢城
    3位 POCA PON ポカポン
    4位 恋愛裁判
    5位 廃用身
    ■コメント
    6.ラプソディ・ラプソディ
    7.メモリィズ
    7.ロストランド
    7.万事快調〈オール・グリーンズ〉

    上半期の最大の発見は大塚信一の『ポカポン』。深田作品はヒロインの表情の変容の劇として、ラストでは10年ほど時が経過したような感触が有り、彼のベストかと感じた。ただし、東宝作品としてはこの題材ならば『Wの悲劇』のような作劇にしなければ観客には届かない。『廃用身』は独自の高邁な理想を掲げながら、挫折により自滅へと至る染谷将太のキャラクターに惹かれた。

  • 三留まゆみ(イラストライター)

    選評

    ■ベスト5
    1位 POCA PON ポカポン
    2位 木挽町のあだ討ち
    3位 四月の余白
    4位 ラプソディ・ラプソディ
    5位 名無し
    ■コメント
    2026年のいちばんの問題作は『急に具合が悪なる』ではなく、『ポカポン』である。すべての意味において挑発的かつ底なしに恐ろしい映画だ。さらに恐ろしいのはこれをつくった大塚信一監督(2003年公募のゴジ組助監督)が、まだ開花の途中にあること。
    上半期のベスト5の選出は思った以上にむずかしく、順位についても大きな開きはない。そして残念ながら以下の作品がこぼれてしまった。『金子文子 何が私をこうさせたか』『鍵』『遊歩 ノーボーダー』『メモリィズ』『免許返納』『君のクイズ』。

  • 森直人(映画評論家)

    選評

    ■ベスト5
    1位 急に具合が悪くなる
    2位 四月の余白
    3位 ミックスモダン
    4位 POCA PON ポカポン
    5位 廃用身
    ■コメント
    『急に具合が悪くなる』は、濱口竜介のフィルモグラフィ全体が積み上がった先にある(その先にしかない)固有の映画の風景を見せてくれたという意味でも、やはり頭ひとつ抜けている。以下は白熱の混戦で、『道行き』『LOST LAND/ロストランド』『炎上』『恋愛裁判』とそのまま入れ替えたい気持ちもある。下半期はさらに大量の注目作が続きそうだ。

第35回 授賞式 開催終了

テアトル新宿

登壇者 井川遥、毎熊克哉、根岸吉太郎、塩見三省 ほか

トーク 「日本映画とミニシアター」塚本晋也 × 北條誠人(司会:大高宏雄)

授賞式レポート・詳細を見る