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第33回(2023年度)日本映画プロフェッショナル大賞発表

第33回(2023年度)日本映画プロフェッショナル大賞(略称:日プロ大賞)の受賞作、個人賞が決まりました。

日プロ大賞は1992年に設立され、2024年の今回で33回目を迎えます。既成の映画賞とは一線を画しつつ、プロデューサー、映画監督、脚本家、新聞記者、映画評論家、映画ジャーナリスト、ミニシアター支配人、映画宣伝担当者ら“映画のプロ”31人の選考委員の投票と、実行委員会の独自の判断で決定しました。

授賞式は2024年7月6日(土)夜、東京・テアトル新宿で開催を予定しています。

大高宏雄(日プロ大賞実行委員長)

作品賞&個人賞

  • 作品賞

    花腐し

    製作委員会=東映ビデオ、バップ、アークエンタテインメント

  • 主演女優賞

    菊地凛子

    「658km、陽子の旅」

  • 主演男優賞

    光石研

    「逃げきれた夢」

    松山ケンイチ

    「ロストケア」

  • 監督賞

    荒井晴彦

    「花腐し」

  • 新人監督賞

    金子由里奈

    「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

  • 新進女優賞

    さとうほなみ

    「花腐し」

  • 特別賞

    「福田村事件」製作チーム

  • 特別功労賞

    藤竜也

    「高野豆腐店の春」及び、長年の功労に対して

ベストテン

  • 1

    花腐し

    監督:荒井晴彦

    出演:綾野剛、柄本佑、さとうほなみ

  • 2

    福田村事件

    監督:森達也

    出演:井浦新、田中麗奈、永山瑛太

  • 3

    ほかげ

    監督:塚本晋也

    出演:趣里、森山未來、塚尾桜雅

  • 4

    愛にイナズマ

    監督:石井裕也

    出演:松岡茉優、窪田正孝、池松壮亮

  • 5

    アンダーカレント

    監督:今泉力哉

    出演:真木よう子、井浦新、永山瑛太

  • 6

    渇水

    監督:髙橋正弥

    出演:生田斗真、門脇麦、磯村勇斗

  • 7

    市子

    監督:戸田彬弘

    出演:杉咲花、若葉竜也、森永悠希

  • 8

    PERFECT DAYS

    監督:ヴィム・ヴェンダース

    出演:役所広司、柄本時生、中野有紗

  • 9

    正欲

    監督:岸善幸

    出演:稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗

  • 10

    リバー、流れないでよ

    監督:山口淳太

    出演:藤谷理子、鳥越裕貴、永野宗典

選考委員

  • 足立喜之(映画業界従事者)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:黒木華
    主演男優賞:藤竜也
    監督賞:三原光尋
    新人監督賞:加藤拓也
    ■ベストテン
    1位 花腐し
    2位 高野豆腐店の春
    3位 ファミリア
    4位 エゴイスト
    5位 ヴィレッジ
    6位 正欲
    7位 ロストケア
    8位 ほつれる
    9位 バカ塗りの娘
    10位 Single 8
    ■コメント
    陰陰たる梅雨の季節に咲く卯木の花。そこに降りそそぎ、いまだ止まぬ霖雨の頃、室内にこもる腐敗臭にも似た中にわずかに漂う霊香の誘いがある。
    昇天していく男女の恋愛も、更なる薰香へと継続されて時、「花腐し」の作品の真意がみえてくる。

  • 阿部嘉昭(評論家)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:真木よう子
    主演男優賞:松山ケンイチ
    監督賞:松永大司
    新人監督賞:なし
    ■ベストテン
    1位 アンダーカレント
    2位 スイート・マイホーム
    3位 ロストケア
    4位 エゴイスト
    5位 ゴジラ-1.0
    6位 市子
    7位 怪物
    8位 首
    9位 PERFECT DAYS
    10位 見たものの記録
    ■コメント
    『アンダーカレント』は豊田徹也のマンガ原作どおりなのに、後半のロングシーンの連打で今泉力哉調になる。現実から儚いガラスを隔てて存在しているような真木よう子が抒情的だった。『スイート·マイホーム』の監督、齊藤工は演出巧者。地階と屋根裏に居住空間が迎撃される逼塞感に動悸した。前田哲監督『ロストケア』は『月』(石井裕也監督)と同主題だが、静謐さによって深い。NetFlix配信の石田雄介監督『ゾン100』も痛快だった。

  • 石飛徳樹(新聞記者)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:さとうほなみ
    主演男優賞:松山ケンイチ
    監督賞:荒井晴彦
    新人監督賞:庄司輝秋
    ■ベストテン
    1位 愛にイナズマ
    2位 花腐し
    3位 リバー、流れないでよ
    4位 ロストケア
    5位 波紋
    6位 山女
    7位 ほかげ
    8位 こんにちは、母さん
    9位 福田村事件
    10位 PERFECT DAYS
    ■コメント
    本年は石井裕也の年だった。「月」と「愛にイナズマ」、全くタイプの異なる2作品を世に問うた。「月」は除外対象だが、「愛にイナズマ」は松岡茉優以下、コメディセンス抜群の俳優を贅沢に並べ、涙が出るほど笑わされ、そして感動の涙も流させられた。これまでも秀作の多い監督だが、本年は明らかにギアチェンジしていた。キネ旬など他の映画賞の締め切りに間に合わなかった「リバー、流れないでよ」。何度見ても最高に面白い。

  • 磯島治之(編集者)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:あの
    主演男優賞:GACKT
    監督賞:熊切和嘉
    新人監督賞:なし
    ■ベストテン
    1位 市子
    2位 PERFECT DAYS
    3位 658km、陽子の旅
    4位 翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~
    5位 リバー、流れないでよ
    6位 アンダーカレント
    7位 愛にイナズマ
    8位 ほつれる
    9位 BAD LANDS バッド・ランズ
    10位 雑魚どもよ、大志を抱け!
    ■コメント
    なし

  • 伊藤さとり(映画パーソナリティ・映画評論)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:菊地凛子
    主演男優賞:池松壮亮
    監督賞:工藤将亮
    新人監督賞:庄司輝秋
    ■ベストテン
    1位 愛にイナズマ
    2位 波紋
    3位 ほかげ
    4位 さよなら ほやマン
    5位 遠いところ
    6位 赦し
    7位 Winny
    8位 リバー、流れないでよ
    9位 茶飲友達
    10位 ほつれる
    ■コメント
    2023年は力ある新人監督の作品が豊作だった。『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』の金子由里奈監督の柔らかながの中に見える血の通った演出や、『遠いところ』の工藤将亮監督のリサーチを重ねた先に行き着いた貧困問題と切り離せない女性の格差社会の描き方、そして『さよなら ほやマン』の庄司輝秋監督による宮城県石巻という被災を受けた地の人々が魂をたぎらせながら生きる姿を明るく描く斬新な発想など、日本映画の未来はカラフルだと感じ、より楽しみに。今後も共に期待せずにはいられない才能との出会いだった。

  • 大高宏雄(日本映画プロフェッショナル大賞実行委員長、映画ジャーナリスト)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:菊地凛子
    主演男優賞:稲垣吾郎
    監督賞:山田洋次
    新人監督賞:金子由里奈
    ■ベストテン
    1位 こんにちは、母さん
    2位 仕掛人・藤枝梅安
    3位 春画先生
    4位 花腐し
    5位 福田村事件
    6位 高野豆腐店の春
    7位 658km、陽子の旅
    8位 BAD CITY
    9位 ハマのドン
    10位 火だるま槐多よ
    ■コメント
    なし

  • 大塚史貴(映画.com副編集長)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:伊東蒼
    主演男優賞:豊川悦司
    監督賞:外山文治
    新人監督賞:なし
    ■ベストテン
    1位 愛にイナズマ
    2位 BAD LANDS バッド・ランズ
    3位 春に散る
    4位 茶飲友達
    5位 ほかげ
    6位 世界の終わりから
    7位 最後まで行く
    8位 仕掛人・藤枝梅安
    9位 ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー
    10位 ちひろさん
    ■コメント
    なし

  • 荻野洋一(番組等映像演出・映画評論)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:伊東蒼
    主演男優賞:奥平大兼
    監督賞:塚本晋也
    新人監督賞:金子由里奈
    ■ベストテン
    1位 ほかげ
    2位 世界の終わりから
    3位 アイスクリームフィーバー
    4位 広島を上演する
    5位 王国(あるいはその家について)
    6位 愛にイナズマ
    7位 バカ塗りの娘
    8位 君は放課後インソムニア
    9位 エゴイスト
    10位 ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
    ■コメント
    選評:①は戦争遂行決定者への憤怒、卑劣な上官への憎悪がミニマルな画面の中に充満する。これは1945年の物語ではない。202×年の物語である。②の紀里谷和明が引退を表明した。映画ジャーナリズムは彼を黙殺し続けたが、ポテンシャルを思うと、私は紀里谷の早期引退を惜しむ。新人監督賞は③千原徹也と⑩金子由里奈で迷ったが、前者はアートディレクションで実績豊富な人。『21世紀の女の子』以来注目していた金子を選ぶ。

  • 加藤敦(北海道新聞記者)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:門脇麦
    主演男優賞:井浦新
    監督賞:岩井俊二
    新人監督賞:中川駿
    ■ベストテン
    1位 アンダーカレント
    2位 正欲
    3位 渇水
    4位 少女は卒業しない
    5位 キリエのうた
    6位 PERFECT DAYS
    7位 市子
    8位 エゴイスト
    9位 花腐し
    10位 BAD LANDS バッド・ランズ
    ■コメント
    心の中のもやもやを描き出した①と②。言語化しにくいものを映像で表現する、これが映画本来の役割か。①の井浦新、⑥の役所広司と、訳ありらしい男が静かに暮らすすごみ。③の門脇麦と⑦の杉咲花の見せる諦念。②③「月」と上位作品にはいつも磯村勇斗が。前年の「愛なのに」に続き⑨で見せた、さとうほなみの女優根性。監督賞は、東日本大震災と向き合い、聖母を創った⑤の岩井俊二監督に。群像劇をさばいた④の中川駿監督に新人監督賞を。

  • 上島春彦(映画批評)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:さとうほなみ
    主演男優賞:柄本佑
    監督賞:荒井晴彦
    新人監督賞:草野なつか
    ■ベストテン
    1位 花腐し
    2位 ほかげ
    3位 渇水
    4位 スイート・マイホーム
    5位 王国(あるいはその家について)
    6位 鯨の骨
    7位 ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
    8位 アンダーカレント
    9位 福田村事件
    10位 市子
    ■コメント
    順位にそれほど意味を持たせてはいない。ただし一位はこれで決まり、という感じはあるか。ロマンポルノの伝統を継承しているし褒めやすいね。締め切りの関係で他誌に選び損ねた物を優先させた局面も多少ある。新人監督というのは基準が難しく、草野さんにしてもデビュー作ではない。しかし方法論がデビューからここまでは一貫しているし、これでいいんじゃないでしょうか。『ぬいぐるみと』の語り口も達者で大いに満足であった。

  • 河本清順(シネマ尾道支配人)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:菊地凛子
    主演男優賞:倉悠貴
    監督賞:三原光尋
    新人監督賞:淺雄望
    ■ベストテン
    1位 福田村事件
    2位 高野豆腐店の春
    3位 ほかげ
    4位 こいびとのみつけかた
    5位 銀平町シネマブルース
    6位 白鍵と黒鍵の間に
    7位 劇場版 美しい彼〜eternal〜
    8位 愛にイナズマ
    9位 春に散る
    10位 逃げきれた夢
    ■コメント
    『福田村事件』が大ヒットしたことは驚いたしとても嬉しかった。映画は社会が間違えた方に向かわるよう、立ち止まって考えるための存在であるし、時には大笑いしたり恋心にときめいたり感動で大粒の涙を流す、そんな映画をもっともっと観たいと思う。そしてそれらの映画を作る全ての人を全力で応援したいと強く思う。

  • 古賀重樹(新聞記者)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:行平あい佳
    主演男優賞:光石研
    監督賞:荒井晴彦
    新人監督賞:草野なつか
    ■ベストテン
    1位 花腐し
    2位 王国(あるいはその家について)
    3位 ほかげ
    4位 春画先生
    5位 渇水
    6位 茶飲友達
    7位 遠いところ
    8位 エゴイスト
    9位 君は放課後インソムニア
    10位 バカ塗りの娘
    ■コメント
    新しい監督が続々と現れてきた。それぞれに伸びやかで力強い映画を撮っている。世評の高い「月」「福田村事件」よりも、ここに挙げた新鋭監督たちの作品の方が私にとっては刺激的だった。ベテランの荒井、塚本、塩田の各作品も若々しく、何より自由だ。「首」「君たちはどう生きるか」に表れた巨匠の自由な作家精神を強く支持するが、ここでは若手作品を優先した。世界はますます息苦しいが、映画は自由であってほしい。

  • 佐藤佐吉(映画監督・脚本家・俳優)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:河野知美
    主演男優賞:木村知貴
    監督賞:大西諒
    新人監督賞:瑚海みどり
    ■ベストテン
    1位 99%、いつも曇り
    2位 はこぶね
    3位 水いらずの星
    4位 海の夜明けから真昼まで
    5位 少女は卒業しない
    6位 雑魚どもよ、大志を抱け!
    7位 福田村事件
    8位 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
    9位 正欲
    10位 スイート・マイホーム
    ■コメント
    なし

  • 島村卓弥(文化通信社映画部記者)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:澁谷麻美
    主演男優賞:光石研
    監督賞:福間健二
    新人監督賞:草野なつか
    ■ベストテン
    1位 きのう生まれたわけじゃない
    2位 王国(あるいはその家について)
    3位 バカ塗りの娘
    4位 正欲
    5位 逃げきれた夢
    6位 上飯田の話
    7位 エゴイスト
    8位 義父養父
    9位 はこぶね
    10位 J005311
    ■コメント
    昨年の日プロ授賞式で改めて観た青山真治監督『HELPLESS』の衝撃をずっと引きずっている。「何にも似ていない」。そんな言葉がスクリーンを眺めながら頭に浮かび続けた。繰り返し観た『君たちはどう生きるか』でも同じことを想った。どこか既視感を覚える日本映画で溢れ返った2023年、何にも置き換えられない時間と空間を撮った10本が光った。「宇宙の中心はそこにあり、そこを起点に広がっている」。そう信じさせる光を自ら放つ10本である。

  • 徐昊辰(映画ジャーナリスト)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:菊地凛子
    主演男優賞:加瀬亮
    監督賞:立川譲
    新人監督賞:森達也
    ■ベストテン
    1位 君たちはどう生きるか
    2位 PERFECT DAYS
    3位 ほかげ
    4位 福田村事件
    5位 BLUE GIANT
    6位 逃げきれた夢
    7位 658km、陽子の旅
    8位 Winny
    9位 「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち
    10位 首
    ■コメント
    “突破”の一年、これは2023年の日本映画にふさわしい言葉でしょう。中国を中心に、アジア諸国で『すずめの戸締まり』と『THE FIRST SLAM DUNK』が大ヒット。『君たちはどう生きるか』、『ゴジラー1.0』は全米で興収大健闘、アカデミー賞ノミネートされるほど、大きな話題を呼んだ。更に、『怪物』、『PERFECT DAYS』はカンヌ国際映画祭で受賞など。日本映画今後の海外展開は一気に可能性を広げた。これから、日本映画界はどう動くか、とても楽しみだ。

  • 進藤良彦(映画・ドラマ批評)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:北香那
    主演男優賞:菅田将暉
    監督賞:今泉力哉
    新人監督賞:中川駿
    ■ベストテン
    1位 愛にイナズマ
    2位 福田村事件
    3位 Winny
    4位 ほつれる
    5位 こいびとのみつけかた
    6位 アンダーカレント
    7位 ちひろさん
    8位 春画先生
    9位 キリエのうた
    10位 ミステリと言う勿れ
    ■コメント
    本来のベストワンは他でも推した「福田村事件」だが、やはり日プロではもう少し日陰の存在になってしまった作品こそを持ち上げたく、「愛にイナズマ」の心地よさを首位とした。惜しくもこぼれたのは「あつい胸さわぎ」「ロストケア」「ゲネプロ☆7」。また「BLUE GIANT」「金の国水の国」「窓ぎわのトットちゃん」「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」などアニメーションも豊富な年だったが、今回も泣く泣く実写に絞った。

  • 鈴木淳(映像企画・プロデューサー)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:菊地凛子
    主演男優賞:岸優太
    監督賞:瑠東東一郎
    新人監督賞:森達也
    ■ベストテン
    1位 福田村事件
    2位 Gメン
    3位 658km、陽子の旅
    4位 アンダーカレント
    5位 BAD LANDS バッド・ランズ
    6位 リバー、流れないでよ
    7位 1秒先の彼
    8位 春に散る
    9位 仕掛人・藤枝梅安
    10位 ちひろさん
    ■コメント
    ①今までドキュメント作品を作り続けた森監督が初めての商業作品を匠な演出で見事に作り上げていた。中でも助演の水道橋博士は見事、②人気コミックを俳優陣の熱量ある好演で23年一番楽しめた一本、③ロードムービーで描かれた本作は菊地凛子の好演で引きこまれた、東北出身の私の見慣れた土地が多く出てくるので懐かしくもあり感情移入が出来た。⑥、⑦の両作品とも低予算でファンタジーで、心地よく鑑賞が出来た。

  • 関口裕子(映画ジャーナリスト)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:有村架純
    主演男優賞:松山ケンイチ
    監督賞:宮﨑駿
    新人監督賞:鶴岡慧子
    ■ベストテン
    1位 キリエのうた
    2位 BAD LANDS バッド・ランズ
    3位 ロストケア
    4位 市子
    5位 ちひろさん
    6位 愛にイナズマ
    7位 IMPERIAL 大阪堂島出入橋
    8位 山女
    9位 BLUE GIANT
    10位 さよなら ほやマン
    ■コメント
    2023年は何かを動かす前の逡巡の年。ジャンプの前にしゃがみ込む体制を取るように。そんな気がしました。映画に関しても同様な傾向を感じました。選んだ10本はそれを象徴する作品たちとなります。主要賞とキネマ旬報ベスト·テンに入った作品は抜きました。

  • 高崎俊夫(編集者・映画批評家)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:真木よう子
    主演男優賞:生田斗真
    監督賞:髙橋正弥
    新人監督賞:外山文治
    ■ベストテン
    1位 渇水
    2位 アンダーカレント
    3位 BLUE GIANT
    4位 花腐し
    5位 零落
    6位 ほかげ
    7位 市子
    8位 福田村事件
    9位 東京組曲2020
    10位 茶飲友達
    ■コメント
    ①も②④⑤も<水>のイメージが鮮烈で、いずれもどこか相米慎二と石井隆の映画の濡れぞぼる雨の記憶を喚起させるものがあって忘れがたい。外山文治は新人監督と呼ぶべきかどうか迷うが、長篇3作目の⑩は、高齢者の性と売春という、一見、キワモノになりかねないモチーフを扱いながらも、安直な社会派風な問題提起のレベルに回収させずに、実に繊細な手つきで掬い取っていて見応えがあった。

  • 谷岡雅樹(ノンフィクション作家)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:新垣結衣
    主演男優賞:稲垣吾郎
    監督賞:岸善幸
    新人監督賞:高橋慎一
    ■ベストテン
    1位 正欲
    2位 渇水
    3位 PERFECT DAYS
    4位 市子
    5位 TOCKA[タスカー]
    6位 怪物
    7位 アナログ
    8位 春に散る
    9位 彼方の閃光
    10位 THE FOOLS 愚か者たちの歌<完全版>
    ■コメント
    ジャニーズから宝塚、自衛隊、吉本興業、落語界、学校、仏門と飛び火しているパワハラ、性加害問題が、時代錯誤で村社会の映画界に対しては、未だ燻った状態だ。映画人の側の特権的素行や傲慢さ、逆被害者意識を知覚すると観客は外方を向く。公開作品では、熟考の末の試み、更新、内省、失態、旧態依然の儘の痴態が露わになり、突き付けられた意識の回答を兼ねた表現となり、まさに過渡期の時代で、評論家の態度もまた剥き出しとなる。

  • 寺脇研(映画運動家)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:さとうほなみ
    主演男優賞:水澤紳吾
    監督賞:荒井晴彦
    新人監督賞:平波亘
    ■ベストテン
    1位 二人静か
    2位 花腐し
    3位 遠いところ
    4位 サーチライト-遊星散歩-
    5位 Winny
    6位 市子
    7位 愛にイナズマ
    8位 658km、陽子の旅
    9位 Gメン
    10位 女優は泣かない
    ■コメント
    なし

  • 中村勝則(映画ライター)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:なし
    主演男優賞:なし
    監督賞:足立紳
    新人監督賞:庄司輝秋
    ■ベストテン
    1位 雑魚どもよ、大志を抱け!
    2位 エゴイスト
    3位 しゅら 縄の姉妹
    4位 さよなら ほやマン
    5位 リバー、流れないでよ
    6位 そして僕は途方に暮れる
    7位 恋のいばら
    8位 渇水
    9位 波紋
    10位 Gメン
    ■コメント
    例年通り日プロの選考基準にあわせたつもりだが、基本的には『渴水』と『波紋』が加わっただけで、あとは私的ベストテンとほぼ変わりない。

    主演男女優については『エゴイスト』の鈴木亮平と『ほかげ』の趣里しか考えられず、無理やりに他の方を入れるのも失礼だと思ったので、ここは該当なしということで…。

    あと、『BLUE GIANT』『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』『窓ぎわのトットちゃん』『アリスとテレスのまぼろし工場』等、アニメの傑作も多かったが、日プロは基本「陽のあたらない傑作」を評価すべき賞だと考えているので、あえて入れませんでした。

    すみません。

  • 長野辰次(フリーライター)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:北香那
    主演男優賞:斎藤工
    監督賞:森達也
    新人監督賞:牛丸亮
    ■ベストテン
    1位 茶飲友達
    2位 福田村事件
    3位 銀平町シネマブルース
    4位 零落
    5位 老ナルキソス
    6位 春画先生
    7位 TOCKA[タスカー]
    8位 クオリア
    9位 ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
    10位 ヘルメットワルツ
    ■コメント
    実在したシニア向けの売春組織を題材にした外山文治監督の『茶飲友達』が素晴らしかった。効率性に偏重し、デジタル化やリモート化が進む現代社会に一石を投じた問題作だ。恥じらいと母性的な魅力を兼ね揃えた「ティーガールズ」も魅力的だった。書店やコンビニから次々と雑誌が消え、ネットも含め映画情報を扱う商業媒体が激減しつつある。映画ライターは危機的な状況に追い詰められている。「プロの映画評とは何か?」を突きつけられている時代だとも言えるだろう。

  • 西田宣善(オムロ代表)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:藤谷理子
    主演男優賞:綾野剛
    監督賞:北野武
    新人監督賞:金子由里奈
    ■ベストテン
    1位 リバー、流れないでよ
    2位 首
    3位 エゴイスト
    4位 花腐し
    5位 東京組曲2020
    6位 ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
    7位 Single 8
    8位 ゴジラ-1.0
    9位 PERFECT DAYS
    10位 波紋
    ■コメント
    映画が長くなる傾向にある。私の希望としては、2時間、できれば90 分前後にしてほしい。そんな中で、①は、ちょうど良い長さで見やすく、楽しく笑えたので、選んだ。そんな作品が、未見の映画の中にも、たくさんあるのかもしれないが、私のアンテナに引っかかって来たのは、これであった。新人監督賞の金子由里奈だが、この作品そのものよりも、端々のシーンに見られる演出力が、新人を超えていると思えたので、選んだ。

  • 樋口尚文(映画評論家・映画監督)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:真木よう子
    主演男優賞:内野聖陽
    監督賞:岩井俊二
    新人監督賞:半野喜弘
    ■ベストテン
    1位 キリエのうた
    2位 アンダーカレント
    3位 花腐し
    4位 春画先生
    5位 福田村事件
    6位 零落
    7位 雑魚どもよ、大志を抱け!
    8位 正欲
    9位 彼方の閃光
    10位 MY (K)NIGHT マイ・ナイト
    ■コメント
    まさか日プロ大賞の選者で『PERFECT DAYS』に票を入れるバカなどいないとは思うが、とにかく稀代の虫唾の走る映画であった。便所掃除の日々に木石のごとく満足するのが禅の美徳 ?? クソったれである。貧しく力なき日本の大衆がそれに共感している図もおぞましい。この薄気味悪い「現状肯定」への誘惑と野合はいったい何?平野啓一郎氏も言っていたが、作る側も誉める側もどういう神経 ?? 『こんにちは、母さん』を観た後の気色悪さも相当なものであったが、わが国が萎えたコロニーにしか見えない『PERFECT DAYS』を観た後の鬱な閉塞感はとてつもなかった…という気持ちを根っから救ってくれる十本がここにある。

  • 藤永一彦(「シネマリス」チーム)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:吉永小百合
    主演男優賞:綾野剛&柄本佑
    監督賞:荒井晴彦
    新人監督賞:杉本大地
    ■ベストテン
    1位 モダンかアナーキー
    2位 零落
    3位 花腐し
    4位 こんにちは、母さん
    5位 テクノブラザーズ
    6位 こいびとのみつけかた
    7位 はこぶね
    8位 茶飲友達
    9位 そして僕は途方に暮れる
    10位 キリエのうた
    ■コメント
    今の日本映画が男優によっても支えられていることを思い知った。新しい日本映画の誕生「モダンかアナーキー」鮮烈でした。初めて吉永小百合さんの女優としての実力を見ました。荒井晴彦監督の映画はどうしてこんなに「映画」らしく見えるのか、凄く貴重。「零落」は清順ばりの場面に目を見張り、次は全編そのスタイルで見てみたい。愛すべき「テクノブラザーズ」。衝撃的なアイナ·ジ·エンドの歌声だけで見せる映画が見たかった。

  • 細谷隆広(トラヴィス)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:さとうほなみ
    主演男優賞:嶺豪一
    監督賞:髙橋正弥
    新人監督賞:鈴木宏侑
    ■ベストテン
    1位 Love Will Tear Us Apart
    2位 あずきと雨
    3位 渇水
    4位 花腐し
    5位 はこぶね
    6位 まなみ100%
    7位 放課後アングラーライフ
    8位 ほかげ
    9位 春に散る
    10位 めためた
    ■コメント
    ベストテン
    1, Love Will Tear Us Apart
    愛だの、涙だのと訳の分からない英語タイトルで損して尚且つ、勘違いしたラブストーリーを思わせる売り方で本来のファンを遠ざけたが、これこそが、スラッシャーホラーコメディの快作だった。小学生の時にいじめにあった少年と少女。「ずっと守り続ける」と少年の誓いを忘れて大人になった少女。が、何故か、彼女の周りでは謎の連続惨殺事件が続出、唯一の友達も殺した彼女を狙うストーカーに復讐するために自身も訓練を受け戦いを決意するが…。えぐ過ぎて、笑えるスプラッター描写に大興奮。人間寿司、殺人ミキサー、やたら柄の長いチエンソーとか、その面白さは『黄龍の村』『カメ止め』を超えてる!私がタイトルをつけるなら「守ってあげたい!愛と復讐のチェンソーマン」にします。『黒い暴動♥』『転がるビー玉』ほか、自主映画には珍しくジャンルムーピーにこだわってきた宇賀那健一監督。やっと、楽しい居場所を見つけたようだ。

    2,あずきと雨
    別れても同居を続けるカップル。男は引きこもりがち。女はうまく出ていかせる理由がみつからない。説明セリフを控えて、お互いに、違う方を向きながら解決策を探る男女の関係性がモラトリアムな雰囲気を抱えながらもダラダラと続くのが今風だ。しかも、まったく、性の匂いもしないのもある意味、現代の男女なのか。性も存在しない生活でも生活は成り立つ。おじさんは性を生活に求めがちだが、今の男女には必要ないようだ。隈元監督の新たなる視点は他の作家より達成感がある。

    3,渴水
    水道を止めたらお母さんにも捨てられた幼い姉妹の部屋。ベタなな演出なら汚らしく荒廃した部屋に仕立てたであろうが、きちんと片付けられたおしゃれな飾りの部屋で、ここを見ただけで、この姉妹の絆や失踪したは母への想いが伝わる。高橋正弥監督なりの映画への向き合い方に畏敬を感じます。

    4,花腐し
    最初のお通夜のシーンにエキストラで呼ばれて、行徳の斎場にチャリで行く。ちゃんと映ってたし、タイトルやパンフにも名前が載ってて、良かった。昔だったら母に自慢したとこだった。2人の男がセックスしたり、喧嘩したりと、女との過去の話をしながらも、ノスタルジックな世界に浸る所で安易に終わらないのが良い。シナリオを書き換える男、ハーフ女子との幻想的なセックス、作られたかのような過去と不確かな現実に迷い込む。『身も心も』に帰るのか、と思いきや、新たな深遠なる世界に挑んでる。荒井さん、ますます若い。

    5,はこぶね
    盲目の元漁師。それも、いささか、性格が曲がってるのがいい。木村友貴の善人ぶらずに非健常者のいやらしい部分も含めて、映画の器量の豊かさに才気を感じる。内田春菊の嫌味な叔母さんのキャラが活きてる。

    6,まなみ100%
    やっぱり、青春映画の男の子は3人組に限る。ヒロインまなみといつもエッチしたくとも断られてばかりで、だからと言って、一途でもない。そんな、いい加減な主人公のキャラって、今までなかった。もちろん、ヒロインとは良い所まで行ってもいつも不発に終わる。そう、少年にとってまなみは永遠のヒロインで決して付き合う事はかなわない。

    7,放課後アングラーライフ
    城定監督のホームグラウンドは女子高生。難しい事はない、転校生が釣り部に入り、友達と仲良くなる。それだけだが、『アルブススタンドのはしの方』に通じるチーム女子の瑞々しさが嬉しくなる。

    8,ほかげ
    中野武蔵野ホールにいた時に、塚本晋也監督の『鉄男』に出会った。中野で上映できなかったら、Vシネマとしてピデオレンタルに回される所を劇場公開にこぎつけた。あれから、30年、今だに、ぶれてない世界を構築してる。

    9,春に散る
    瀬々監督、久しぶりに正当な娯楽映画に復活。生と死、勝者と敗者、強さと弱さ、各々対立の構造の中で真摯に人生と向き合う。佐藤浩市、相川翔、鶴太郎の中年3人組がかっての「アナーキーいんじゃばんすけ」の下元史郎、諏訪太朗、佐野和宏の甦りと見たのは私だけではないようだ。

    10,めためた
    ホンサンスとウッデイアレン好きにはたまらない映画だ。しかも、3つの物語を繋ぐ仕掛けが面白い。パソコンの一押し、人生が変わっていく何て伏線の回収の仕方に感心した。

  • 堀口慎(日本映画製作者連盟)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:黒木華
    主演男優賞:光石研
    監督賞:荒井晴彦
    新人監督賞:金子由里奈
    ■ベストテン
    1位 PERFECT DAYS
    2位 福田村事件
    3位 1秒先の彼
    4位 春画先生
    5位 愛にイナズマ
    6位 ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
    7位 王国(あるいはその家について)
    8位 君は放課後インソムニア
    9位 逃げきれた夢
    10位 鯨の骨
    ■コメント
    選考対象作品の中から、キネマ旬報ベストテン入選作品は3本までとして選出。22年に比すると有望な新鋭の作品は少なかったように思える。金子作品は後半の主人公二人のディスカッションのシーンからラストの新谷ゆづみの突然の闖入までの演出に関しては揺るぎがなかった。新人監督賞は他に大江崇允、川北ゆめき、中川駿、千原徹也などを候補とした。

  • 松崎まこと(映画活動家/放送作家)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:新垣結衣
    主演男優賞:木村知貴
    監督賞:岸善幸
    新人監督賞:中川駿
    ■ベストテン
    1位 福田村事件
    2位 正欲
    3位 茶飲友達
    4位 少女は卒業しない
    5位 リバー、流れないでよ
    6位 愛にイナズマ
    7位 ほかげ
    8位 Single 8
    9位 はこぶね
    10位 99%、いつも曇り
    ■コメント
    『福田村事件』『正欲』は、“志”という意味でも甲乙つけがたく、『福田村』を第1位、『正欲』の岸善幸を監督賞とする。男優賞は磯村勇斗と思ったが、各助演賞を獲りまくりの折り、長くインディーズで活躍する木村知貴の『はこぶね』でのベストアクトをピックアップ。女優賞は『福田村』の田中麗奈も捨て難かったが、『正欲』のガッキーに。新人監督賞は外山文治、山口淳太と迷いながら、純然たる商業第1作の中川駿とした。

  • 三留まゆみ(イラストライター)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:石川さゆり
    主演男優賞:森山未來
    監督賞:塚本晋也
    新人監督賞:佐井大紀
    ■ベストテン
    1位 ほかげ
    2位 窓ぎわのトットちゃん
    3位 花腐し
    4位 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
    5位 福田村事件
    6位 日の丸~寺山修司40年目の挑発~
    7位 Single 8
    8位 Winny
    9位 劇場版 センキョナンデス
    10位 雑魚どもよ、大志を抱け!
    ■コメント
    某映画専門誌で異例のベスト1となった『ゴジラ-1.0』を日プロがどう位置づけるのか、たいへん興味深い。『ほかげ』と同じく『ゴジラ』も「戦争に落とし前をつける」物語だったが、その落とし前のつけ方のあまりの違いに戦慄する。「日本を、取り戻す。」映画に多くのプロたちが共感していることにも。『野球どアホウ未亡人』『さよならホヤマン』『異端の純愛』『メンドウな人々』など、入りきれなくて涙を飲んだ作品多々。にしても、2024年は特別な年だったとベストテンを考えながら思う。

  • 森直人(映画評論家)

    選評

    ■個人賞
    主演女優賞:吉本実憂
    主演男優賞:新井秀幸
    監督賞:二ノ宮隆太郎
    新人監督賞:金子由里奈
    ■ベストテン
    1位 逃げきれた夢
    2位 ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
    3位 市子
    4位 過去負う者
    5位 ほかげ
    6位 王国(あるいはその家について)
    7位 ほつれる
    8位 めためた
    9位 福田村事件
    10位 青春墓場
    ■コメント
    毎年、自分の年間ベストテンに関しては複数パターンを世に出す形になっていますが、選出に際してはそもそも混戦なので、今回の枠ではなるだけ他で挙げ損ねた作品を多くランクインさせました。自主製作系も相当な数が劇場公開へと至るようになり、壮絶な玉石混淆状態ですが、『たまつきの夢』(田口敬太)や『JOURNEY』(霧生笙吾)、『野球どアホウ未亡人』(小野峻志)など多様な佳品たちに出会えるのはやはり嬉しいことです。