第35回(2025年度)
日本映画プロフェッショナル大賞
第35回日本映画プロフェッショナル大賞(略称・日プロ大賞)の受賞作、個人賞が決まりました。
この賞は1992年に設立され、2026年の今回で35回目を迎えます。既成の映画賞とは一線を画しつつ、プロデューサー、映画監督、脚本家、新聞記者、映画評論家、映画ジャーナリスト、ミニシアター支配人、映画宣伝担当者ら、“映画のプロ”32人の選考委員の投票と、実行委員会の独自の判断で決定しました。
授賞式は、2026年6月20日(土)午後2時より、東京・テアトル新宿にて開催します。
作品賞&個人賞
作品賞
「桐島です」
製作=北の丸プロダクション
主演女優賞
井川遥
「平場の月」
主演男優賞
毎熊克哉
『「桐島です」』
監督賞
根岸吉太郎
「ゆきてかへらぬ」
新人監督賞
団塚唯我
見はらし世代
特別賞
「アジアのユニークな国」製作チーム
日本映画に新風を起こしたことに対して
特別功労賞
塩見三省
「平場の月」「劇映画 孤独のグルメ」及び、⻑年の功績に対して
ベストテン
1
「桐島です」
監督:高橋伴明
出演:毎熊克哉、奥野瑛太、北香那
2
遠い山なみの光
監督:石川慶
出演:広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊
3
宝島
監督:大友啓史
出演:妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝
4
ふつうの子ども
監督:呉美保
出演:嶋田鉄太、瑠璃、味元耀大
5
悪い夏
監督:城定秀夫
出演:北村匠海、河合優実、伊藤万理華
6
アジアのユニークな国
監督:山内ケンジ
出演:鄭亜美、岩谷健司、岩本えり
7
見はらし世代
監督:団塚唯我
出演:黒崎煌代、遠藤憲一、井川遥
8
愚か者の身分
監督:永田琴
出演:北村匠海、林裕太、綾野剛
海辺へ行く道
監督:横浜聡子
出演:原田琥之佑、麻生久美子、高良健吾
9
今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
監督:大九明子
出演:萩原利久、河合優実、伊東蒼
10
フロントライン
監督:関根光才
出演:小栗旬、松坂桃李、池松壮亮
選考委員
足立喜之(映画業界従事者)
選評
■個人賞
主演女優賞:河合優実
主演男優賞:長塚京三
監督賞:根岸吉太郎
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 ゆきてかへらぬ
2位 「桐島です」
3位 爆弾
4位 遠い山なみの光
5位 宝島
6位 悪い夏
7位 兄を持ち運べるサイズに
8位 中山教頭の人生テスト
9位 見はらし世代
10位 正体
■コメント
蕩揺する人々の心情すべてを精緻な映像に内在させる「ゆきてかへらぬ」。各々が産出する念望は決して合致はせずにまた新たな混沌の迷路へと出立する。阿部嘉昭(評論家)
選評
■個人賞
主演女優賞:長澤まさみ
主演男優賞:北村匠海
監督賞:石川慶
新人監督賞:古川豪
■ベストテン
1位 遠い山なみの光
2位 花まんま
3位 愚か者の身分
4位 ファーストキス 1ST KISS
5位 悪い夏
6位 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
7位 ドールハウス
8位 平場の月
9位 金子差入店
10位 蘭島行
■コメント
『遠い山なみの光』は解釈のゆらぐ謎めいた傑作。二階堂ふみの役柄が実在しなかったと判断されながら、その二階堂に広瀬すずが憑依する長崎市電のシーンに美しい戦慄が走った。構成と撮影が感動的。『ドールハウス』の長澤まさみは衰退の過程に息を呑む。監督・矢口史靖のホラー素養の深さに脱帽。『愚か者の身分』『悪い夏』『金子差入店』の北村匠海は、三作で不吉な役のグラデーションを完璧に体現した。眼への受難が忘れ難い。石飛徳樹(映画評論家)
選評
■個人賞
主演女優賞:吉永小百合
主演男優賞:横浜流星
監督賞:関根光才
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 フロントライン
2位 見はらし世代
3位 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
4位 遠い山なみの光
5位 愚か者の身分
6位 星と月は天の穴
7位 てっぺんの向こうにあなたがいる
8位 TOKYOタクシー
9位 宝島
10位 次元を超える
■コメント
本年は「国宝」一択だと思っているので、「国宝」を除いてみると、全く別の年のベストテンを選んでいるかのような気がする。ただ、主演男優賞に関しては、実質的にダブル主演だった横浜流星を称揚する機会がやっと巡ってきたことに、大変喜びを感じている。登山界のスターであったがゆえに独善にも陥っていた実在の主人公に、映画界のスターであり続けている吉永小百合があえて挑んだ。その覚悟と凄みについて想いを馳せている。磯島治之(編集者)
選評
■個人賞
主演女優賞:河合優実
主演男優賞:長塚京三
監督賞:三宅唱
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
2位 ふつうの子ども
3位 ルノワール
4位 宝島
5位 海辺へ行く道
6位 「桐島です」
7位 サンセット・サンライズ
8位 遠い山なみの光
9位 フロントライン
10位 爆弾
■コメント伊藤さとり(映画評論家・映画パーソナリティ)
選評
■個人賞
主演女優賞:山下リオ
主演男優賞:堺雅人
監督賞:小島央大
新人監督賞:天野千尋
■ベストテン
1位 愚か者の身分
2位 遠い山なみの光
3位 火の華
4位 ふつうの子ども
5位 見はらし世代
6位 佐藤さんと佐藤さん
7位 能登デモクラシー
8位 雪子a.k.a.
9位 平場の月
10位 中山教頭の人生テスト
■コメント
俳優達の競演により、より魅力的になった映画が目立った。それは『国宝』を始め、『爆弾』もそうであり、特に『愚か者の身分』では、間違いなく林裕太の存在を北村匠海と綾野剛が演技で照らしていたと思う。タイプの違う俳優が共演することで相乗効果となり映画に深みを与えたのは、『遠い山なみの光』での広瀬すずと二階堂ふみの組み合わせにも言える。役を探求する俳優達が起こす化学反応は、脚本を更にブラッシュアップすると実感した。大高宏雄(日本映画プロフェッショナル大賞実行委員長、映画ジャーナリスト)
選評
■個人賞
主演女優賞:倍賞千恵子
主演男優賞:毎熊克哉
監督賞:高橋伴明
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 「桐島です」
2位 TOKYOタクシー
3位 平場の月
4位 愚か者の身分
5位 ドールハウス
6位 星と月は天の穴
7位 秒速5センチメートル
8位 フロントライン
9位 爆弾
10位 アジアのユニークな国
■コメント大塚史貴(映画.com編集長)
選評
■個人賞
主演女優賞:井川遥
主演男優賞:坂口健太郎
監督賞:大友啓史
新人監督賞:古川豪
■ベストテン
1位 宝島
2位 黒川の女たち
3位 夏の砂の上
4位 おーい、応為
5位 ひゃくえむ。
6位 平場の月
7位 サンセット・サンライズ
8位 でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
9位 盤上の向日葵
10位 金子差入店
■コメント荻野洋一(番組等映像の構成・演出・映画評論家)
選評
■個人賞
主演女優賞:井川遥
主演男優賞:櫻井海音
監督賞:横浜聡子
新人監督賞:坂本悠花里
■ベストテン
1位 海辺へ行く道
2位 片思い世界
3位 平場の月
4位 【推しの子】-The Final Act-
5位 ブルーボーイ事件
6位 自由なファンシィ
7位 白の花実
8位 早乙女カナコの場合は
9位 BAUS 映画から船出した映画館
10位 おーい、応為
■コメント
選評:前年(2024年)は選考した 10本中7本を女性監督作品が占めたが、今回(2025年)の女性監督作品は2本のみ。しかし新たな優れた作品の登場が止まったわけではない。監督賞は横浜聡子、新人監督賞は坂本悠花里とするが、素晴らしいのはこの両者があまりにもかけ離れている点である。南北アメリカ、ヨーロッパ、アジアと比べても、日本の女性監督のユニークさは群を抜いている。加藤敦(北海道新聞記者)
選評
■個人賞
主演女優賞:井川遥
主演男優賞:オダギリジョー
監督賞:永井聡
新人監督賞:山元環
■ベストテン
1位 佐藤さんと佐藤さん
2位 ふつうの子ども
3位 平場の月
4位 ナイトフラワー
5位 この夏の星を見る
6位 秒速5センチメートル
7位 「桐島です」
8位 爆弾
9位 夏の砂の上
10位 でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
■コメント
誰も悪くないのに訪れてしまう別れの切なさを、すぐれた脚本と演出で描き出した①。瀧内久美のコメデ・イエンヌぷりに注目した②。凛とした佇まいが魅力的だった③の井川遥に主演女優賞を、⑨と「兄を持ち運べるサイズに」の、ダメ男だが憎めないオダギリジョーに主演男優賞を。コロナ下だから繋がることのできた青春をみずみずしく描いた⑤の山元環監督に新人監督賞を。⑦の高橋伴明監督の「夜明けまでバス停で」のラストでの夢想を映画にした⑧の永井聡監督に監督賞を。上島春彦(映画批評)
選評
■個人賞
主演女優賞:咲耶
主演男優賞:綾野剛
監督賞:荒井晴彦
新人監督賞:該当なし
■ベストテン
1位 星と月は天の穴
2位 少年と犬
3位 UNDERGROUNDアンダーグラウンド
4位 フロントライン
5位 木の上の軍隊
6位 宝島
7位 てっぺんの向こうにあなたがいる
8位 悪い夏
9位 見える子ちゃん
10位 ゆきてかへらぬ
■コメント
個人賞とベストワンはキネマ旬報と一緒。監督の活動が「一人ロマンポルノ」とちゃんと本人により総括されているのは実は今さっき知ったのだが、そういうことだ。今回のベストテンでは瀬々敬久に加え、田中陽造、高橋伴明も成人映画系の出身。近年、目覚ましい監督をされている女性の監督は今回、第3位に登場。記録映画というより実験映画である。キネ旬にも入れるべきだったが、気後れしてしまった。これがベストワンでも良かったかも。河本清順(シネマ尾道支配人)
選評
■個人賞
主演女優賞:田中麗奈
主演男優賞:毎熊克哉
監督賞:松居大悟
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 「桐島です」
2位 ふつうの子ども
3位 リライト
4位 兄を持ち運べるサイズに
5位 名前、呼んでほしい
6位 BAUS 映画から船出した映画館
7位 見はらし世代
8位 星と月は天の穴
9位 悪い夏
10位 初級演技レッスン
■コメント
甫木元空監督、団塚唯我監督など若手監督たちが、その偉才を発揮した日本映画界に希望がみえる年でした。また、松居大悟監督、外山文治監督、オダギリジョー監督、呉美保監督などキャリアを重ねていく俊才監督たちの多くの作品を観ることに恵まれた嬉しい年でもありました。その才能の受け皿であり、映画の出口のひとつである映画館も、ますます身を引き締めて映画に向き合わなくてはいけない。古賀重樹(新聞記者)
選評
■個人賞
主演女優賞:鄭亜美
主演男優賞:長塚京三
監督賞:呉美保
新人監督賞:小島央大
■ベストテン
1位 ふつうの子ども
2位 アジアのユニークな国
3位 火の華
4位 金髪
5位 中山教頭の人生テスト
6位 ブルーボーイ事件
7位 みんな、おしゃべり!
8位 「桐島です」
9位 見はらし世代
10位 こんな事があった
■コメント
ベストテンはすべて原作のないオリジナルものになった。日本の監督や脚本家の構想力は捨てたものじゃない。小学生3人組が地球温暖化を防ぐために商店を襲撃したり、安倍晋三が嫌いな主婦が義父の介護の傍らで売春していたり、PKOでの戦闘を隠蔽された元自衛官たちがクーデターを起こしたり、クラスの生徒が突然そろって金髪で登校してきたり。そんな大胆な企画を後押しするプロフェッショナルがもっと出てくれば、日本映画は安泰だ。佐藤佐吉(監督・脚本家・俳優)
選評
■個人賞
主演女優賞:山下リオ
主演男優賞:山本一賢
監督賞:山内ケンジ
新人監督賞:草葉尚也
■ベストテン
1位 アジアのユニークな国
2位 雪子a.k.a.
3位 遠い山なみの光
4位 ルノワール
5位 この夏の星を見る
6位 タローマン
7位 火の華
8位 無名の人生
9位 Black Box Diaries
10位 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
■コメント
『アジアのユニークな国』 映画でこんなことやっても(言っても) いいんだと言うアイデア満載で正直やられたという感じです。『雪子 a.k.a.』の山下リオさんの感動的なラップシーン、池田良さんのあっと驚く設定。痺れました。島村卓弥(文化通信社映画部記者)
選評
■個人賞
主演女優賞:井川遥
主演男優賞:黒崎煌代
監督賞:水尻自子
新人監督賞:宇和川輝
■ベストテン
1位 普通の生活
2位 果てしなきスカーレット
3位 ユリシーズ
4位 わたのはらぞこ
5位 あわいの魔物たち
6位 Retake リテイク
7位 夏の砂の上
8位 見はらし世代
9位 8番出口
10位 くまをまつ
■コメント
『普通の生活』は水尻自子監督作、10分尺のアニメーション。通常興行は行われておらず、限定的な上映で観た。その夜、260席が埋まった。過去作とのセット上映で計45分もなかった。上映トラブルが相次ぎ、1時間半ほどを要した。劇場内が明転と暗転を繰り返し、大勢が一枚のスクリーンを見守った。クレームは聴こえてこなかった。にわかに動きが滑らかになり、映画の世界へとグッと誘われた。映画の邪魔になると判断されたからか、劇場アナウンスはなく、急速に映画が身体に入ってきた。作品の内容に触れない。選評でもない。そして細部の記憶は違う気さえする。ただただ近ごろでは得難い体験をした。徐昊辰(映画ジャーナリスト)
選評
■個人賞
主演女優賞:該当なし
主演男優賞:長塚京三
監督賞:吉田大八
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 ふつうの子ども
2位 海辺へ行く道
3位 Black Box Diaries
4位 ルノワール
5位 遠い山なみの光
6位 見はらし世代
7位 ペリリュー 楽園のゲルニカ
8位 Good Luck
9位 フロントライン
10位 ドールハウス
■コメント
2025年は、日本映画にとって量と質の両面で飛躍を遂げた特筆すべき一年だった。年間興収は歴代記録を更新し、『国宝』、『鬼滅の刃』、『チェンソーマン』といった社会現象級ヒットが市場を牽引。とりわけ『鬼滅の刃』の世界的成功は、日本映画の海外展開に新たな地平を切り開いた。一方で『旅と日々』『遠い山なみの光』『ふつうの子ども』など国際映画祭で評価を集める作品も相次ぎ、商業と作家性が併走する豊かな風景が立ち上がった一年だった。進藤良彦(映画・ドラマ批評)
選評
■個人賞
主演女優賞:杉咲花
主演男優賞:渋川清彦
監督賞:松居大悟
新人監督賞:芳賀薫
■ベストテン
1位 ミーツ・ザ・ワールド
2位 フロントライン
3位 ファーストキス 1ST KISS
4位 平場の月
5位 風のマジム
6位 アジアのユニークな国
7位 中山教頭の人生テスト
8位 兄を持ち運べるサイズに
9位 ひゃくえむ。
10位 ロマンティック・キラー
■コメント
上位は外せない自分の“推し”で固め、下位には他のベスト・テンで選べなかったものを滑り込ませた。見られる本数がやや限られていた割には、なかなか充実していた一年だったのではないかと思う。評判のよい「ふつうの子ども」「愚か者の身分」「見はらし世代」「ルノワール」「ナイトフラワー」「この夏の星を見る」辺りが、自分にはあまり刺さらなかった。鈴木淳(映像企画・プロデューサー)
選評
■個人賞
主演女優賞:河合優実
主演男優賞:妻夫木聡
監督賞:大友啓史
新人監督賞:川村元気
■ベストテン
1位 宝島
2位 フロントライン
3位 愚か者の身分
4位 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
5位 悪い夏
6位 TOKYOタクシー
7位 片思い世界
8位 木の上の軍隊
9位 室町無頼
10位 8番出口
■コメント
昨年の鑑賞作品は約50本、①3時間を超える製作費をかけた超大作で興行的には残念であったが、妻夫木、窪田、広瀬などが好演。大友監督が沖縄のコザ暴動を、見事に活写している。②コロナ禍の修羅場の中で、組織の中で闘い、医療現場で働く人々の活躍に感動した。中でも窪塚洋介、森七菜の演技が印象深い③闇ビジネスに生きる3人のもがき苦しむ姿を淡々と迫る演出にうなった。中でも、新人林裕太の演技は出色だった。住彩子(中日新聞記者)
選評
■個人賞
主演女優賞:松たか子
主演男優賞:毎熊克哉
監督賞:足立正生
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 ディア・ストレンジャー
2位 爆弾
3位 ヒポクラテスの盲点
4位 逃走
5位 宝島
6位 旅と日々
7位 愚か者の身分
8位 遠い山なみの光
9位 「桐島です」
10位 ふつうの子ども
■コメント
個人的にはあまり取り上げられないであろうと思ったドキュメンタリーを③に。お上に従い、未知の技術を妄信する素直な日本人への警告を込めて。内向き感がますます強まる今、⑦は日本社会の闇と暗部に丁寧に光を当てた。子ども目線で大人の責任を問うは自分自身への反省も。監督賞には自身の人生を渾身の思いでぶつけ、戦い続ける人を選ばせてもらった。関口裕子(映画評論家)
選評
■個人賞
主演女優賞:井川遥
主演男優賞:嶋田鉄太
監督賞:石川慶
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 宝島
2位 遠い山なみの光
3位 ふつうの子ども
4位 ナイトフラワー
5位 TOKYOタクシー
6位 海辺へ行く道
7位 雪子a.k.a.
8位 愚か者の身分
9位 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
10位 「桐島です」
■コメント
脚本を読む機会があった。「ふつうの子ども」は、ダイアローグ通りに台詞を発したにもかかわらずあまりに自然な嶋田鉄太に舌を巻いた。呉美保監督の演出力と、名前だけ見ると昭和生まれだと勘違いしそうな嶋田の演技力の賜物だろう。井川遥は「さかなのこ」あたりからずっと評価されるべきだと思っていた。石川慶はあの難解なカズオ・イシグロの世界をよく映像化したなという驚きから。団塚監督はここからの飛躍に期待を込めて。高崎俊夫(編集者・映画批評家)
選評
■個人賞
主演女優賞:河合優実
主演男優賞:長塚京三
監督賞:朴壽南無&朴麻衣
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 よみがえる声
2位 見はらし世代
3位 中山教頭の人生テスト
4位 アジアのユニークな国
5位 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
6位 悪い夏
7位 星と月は天の穴
8位 遠い山なみの光
9位 ゆきてかへらぬ
10位 「桐島です」
■コメント
①で朴壽南無が大島渚の「絞死刑」を批判するシーンがある。彼女と小松川事件の死刑囚李珍宇の往復書簡集「罪と死と愛と」を読むと、大島が重要な科白など随分、無断、借用していることに気づくのだ。いずれにせよ筋金入りの抵抗者である稀有なドキュメンタリストが本作によって復権、再評価されたことは誠に喜ばしい。②の私的なモチーフを見据えつつ、刻々と変貌する渋谷の景観を柔和な、しかし強靭なる眼差しによって浮上させた不敵な力業に感心した。谷岡雅樹(ノンフィクション作家)
選評
■個人賞
主演女優賞:河合優実
主演男優賞:妻夫木聡
監督賞:城定秀夫
新人監督賞:小島央大
■ベストテン
1位 悪い夏
2位 ナイトフラワー
3位 サンセット・サンライズ
4位 宝島
5位 でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
6位 フロントライン
7位 劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション
8位 蘭島行
9位 金子差入店
10位 「桐島です」
■コメント
表現とは、過剰であり、突出であり、余計であり、無駄である。ウケるか、滑るかは紙一重だ。時代や地域差、ちょっとした手が加われば、その結果や受け取られ方は表裏ほどの違いを見せる。「こんな駄文は、普通は書いても発表しない」とコメントされたことがある。表現において、発表しない「普通」とは、無であり、存在の否定でしかない。加えて、書いても発表しない「普通」の表現者など、見たことがない。二本での死は惜しい。寺脇研(映画運動家)
選評
■個人賞
主演女優賞:南沙良
主演男優賞:北村匠海
監督賞:根岸吉太郎
新人監督賞:草場尚也
■ベストテン
1位 ゆきてかへらぬ
2位 悪い夏
3位 愛されなくても別に
4位 ミーツ・ザ・ワールド
5位 逃走
6位 「桐島です」
7位 みんな笑え
8位 雪子a.k.a.
9位 中山教頭の人生テスト
10位 愚か者の身分
■コメント
脚本、演出ともに圧倒的に素晴らしい『ゆきてかへらぬ』が評価されないことに驚いた。わたしの方が当節の流行とズレているのだろう。まあ、元々流行とは無縁に映画を観てきたのだから、自分が本当に良いと思ったものを並べておく。中村勝則(映画ライター)
選評
■個人賞
主演女優賞:柴咲コウ
主演男優賞:北村匠海
監督賞:中野量太
新人監督賞:該当なし
■ベストテン
1位 兄を持ち運べるサイズに
2位 ブルーボーイ事件
3位 金子差入店
4位 悪い夏
5位 アジアのユニークな国
6位 ルノワール
7位 ナイトフラワー
8位 死に損なった男
9位 爆弾
10位 片思い世界
■コメント
2025年の日本映画はおそらく『国宝』に尽きると思われるが、そもそもそれを外すところから入ったので、私的ベストテンと変わりはない。但し日プロ向けに順位は少し変動さ せていただいたが、基本的には最も推したい10本である。長野辰次(フリーライター)
選評
■個人賞
主演女優賞:輝有子
主演男優賞:木村知貴
監督賞:鈴木太一
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 みんな笑え
2位 蘭島行
3位 「桐島です」
4位 中山教頭の人生テスト
5位 逆火
6位 ゴーストキラー
7位 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
8位 でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
9位 リライト
10位 星と月は天の穴
■コメント
『国宝』『鬼滅の刃』が記録的な大ヒットとなった2025年だが、新宿シネマカリテや池袋シネ・リーブルが閉館するなど、映画界の格差がますます顕著になっている。ミニシアターでじっくり観てほしい、オリジナル作品を中心に選出した。鈴木太一監督の『みんな笑え』や鎌田義孝監督の『蘭島行』は、配信で視聴しても魅力は半分も伝わらないだろう。スクリーンで上映されることで輝きを放つ作品を追ってゆきたい。西田宣善(オムロピクチャーズ株式会社代表取締役会長、監督、プロデューサー)
選評
■個人賞
主演女優賞:大西礼芳
主演男優賞:毎熊克哉
監督賞:根岸吉太郎
新人監督賞:柳裕章
■ベストテン
1位 ゆきてかへらぬ
2位 「桐島です」
3位 早乙女カナコの場合は
4位 遠い山なみの光
5位 また逢いましょう
6位 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
7位 見える子ちゃん
8位 となりの宇宙人
9位 事実無根
10位 還暦高校生
■コメント
「爆弾娘」梶原阿貴の年だと思うので、この賞に脚本賞がないのが残念に思う。順位は、演出力の順番を客観的に判断したつもり。新人監督賞の柳監督は、京都の星である。樋口尚文(映画評論家)
選評
■個人賞
主演女優賞:井川遥
主演男優賞:毎熊克哉
監督賞:樋口真嗣
新人監督賞:遠上恵未
■ベストテン
1位 新幹線大爆破
2位 「桐島です」
3位 ふつうの子ども
4位 平坦な戦場で
5位 BAUS 映画から船出した映画館
6位 木の上の軍隊
7位 ゆさぶられる正義
8位 フロントライン
9位 平場の月
10位 花束
■コメント
なんとなく『キネマ旬報』ベスト・テンで十指に選んだものとは違うものを……と書き連ねると、作品のタイプも規模もみごとにてんでばらばらで、デジタルスタッフがいかにスクリーンに映るものを多種多様にしたのかを今さらながらに実感する。その多様さのなかで、撮ったり演じたりすることに悦びと厳粛さを感じた方々を選びました。藤永一彦(シネマリス副支配人)
選評
■個人賞
主演女優賞:橋本愛
主演男優賞:北村匠海
監督賞:オダギリジョー
新人監督賞:中川駿
■ベストテン
1位 THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE
2位 か「」く「」し「」ご「」と「
3位 愛されなくても別に
4位 愚か者の身分
5位 よみがえる声
6位 海辺へ行く道
7位 おーい!どんちゃん
8位 早乙女カナコの場合は
9位 Welcome Back
10位 となりの宇宙人
■コメント
11月から全然映画を見れていませんが、『か「」く「」し「」ご「」と「』と『愛されなくても別に』はずっと頭に残っている映画です。才気溢れるオダギリジョーさん、そして橋本愛さん、よかったです、男優の活躍(女優もですが)は今年も百花繚乱、『愚か者の身分』の北村匠海さん、綾野剛さん、林裕太さん、痺れました。私事ですがこの2年「シネマリス・チーム」の肩書きで参加していましが、昨年末神保町に開業しました。細谷隆広(トラヴィス)
選評
■個人賞
主演女優賞:鄭亜美
主演男優賞:田丸大輔
監督賞:該当なし
新人監督賞:該当なし
■ベストテン
1位 アジアのユニークな国
2位 佐藤さんと佐藤さん
3位 兄を持ち運べるサイズに
4位 悪い夏
5位 ネムルバカ
6位 ストロベリームーン 余命半年の恋
7位 星と月は天の穴
8位 サンセット・サンライズ
9位 火の華
10位 夏の砂の上
■コメント
①「アジアのユニークな国」安倍晋三で大笑い。昔のピンク映画、しかも、新東宝でなくて、大蔵映画の再現が憎い。小林悟、新田栄風ピンクをトレースしたみたいなのが個人的に嬉しいです。次回作は高市早苗で決まりだ。②「佐藤さんと佐藤さん」価値観の違う男女がなりゆきで結婚して、社会と家庭の軋轢で…。『ブルーバレンタイン』 『追憶』へのオマージュを捧げつつも、夫婦のアンバランスな関係が「あるある」と思っているうちに泣かせてくる。岸井ゆきの宮沢氷雨が出会う駐車場のオヤジが私です。③「兄を持ち運べるサイズに」死んだ兄の葬式をするために苦労しながらも、亡き兄の良さに触れていく?何だ「男はつらいよ」の設定じゃないですか? さしずめ、オダギリジョーが寅さんで、柴咲コウが妹さくらですね。④「悪い夏」売れっ子向井康介脚本の三作品の中で本作が一番面白い。毒づいた人間たちが絡むラストが意外にも滑稽で、城定秀夫監督の手腕が健在。⑤「ネムルバカ」意外な拾い物。アクション抜きの『ベイビーわるきゅーれ』。20代前半の男女の無駄な会話、楽しいキャッチボール延々と続く。⑥「ストロベリームーン 余命半年の恋」何よりも、ヒロインの冨真網の魅力が本作をただの余命難病ものでなく、切ないラブストーリーにレベルアップする。⑦「星と月は点の穴」不思議と日活の中平康の成人映画を思わす。『月曜日のユカ』(1964年) 『砂の上の植物群』(1964年) 『おんなの渦と淵と流れ』(1964年)・・・、中平康も映像にもこだわっていたが、会話術にもセンスがあった。荒井晴彦さん、中平に行きつくとは意外だった。⑧「サンセットサンライズ」またいつもの、三陸沖の地震後遺症映画化と思いきや、おかしくも楽しい市役所職員たちのゆるい日常が最後まで緊張感なくみれる。嫌なこともつらいことも何とかなるさ、肩の力を抜いた震災映画。こんな映画を待ってました。⑨「火の華」自衛隊の海外派遣の隠ぺい事件、トラウマを抱えた元隊員、花火師として人生の再生と自主映画らしからぬデッサンの整った仕組みと撮影の厚み、俳優陣の本気度に打たる。ただ一点、主人公が同僚を金槌で半殺しにしたのに、「賠償金がたかくなるぞ」で一見落着は納得できませんが。⑩「夏の砂の上」偶然にも舞台版を観てた。松田正隆の戯曲は芸術的で、ATG 映画みたいだった。映画版は長崎の坂道の使い方が効果的で、娯楽性のある後期の ATG 映画に仕上がってた。殺伐とした人間関係の距離の取り方、そのバランスの悪さがむしろ気持ち良い。上質の韓国映画みたいな肌触りもあり。オダギリジョーの不器用な生き様も胸にしみる。堀口慎(日本映画製作者連盟)
選評
■個人賞
主演女優賞:井川遥
主演男優賞:毎熊克哉
監督賞:三宅唱
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 海辺へ行く道
2位 遠い山なみの光
3位 見はらし世代
4位 おーい、応為
5位 「桐島です」
6位 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
7位 早乙女カナコの場合は
8位 ゆきてかへらぬ
9位 BAUS 映画から船出した映画館
10位 ブルーボーイ事件
■コメント
今回は過去2作と異なり除外対象とならなかったので、三宅唱を監督賞に。団塚唯我の「見はらし世代」は後半のドライブインのシーン以降の的確な演出が秀逸。自動車の走行をはじめ、東京という都市のナイター撮影の魅惑に溢れていた。新人監督賞の候補は他に端正だが生々しい女優の描写に小沼勝を連想させた坂本悠花里、ndjc・城戸賞の組合せ「あの夏の星を見る」の山元環、広田智大、岡田詩歌など。松崎まこと(映画活動家/放送作家)
選評
■個人賞
主演女優賞:芳根京子
主演男優賞:毎熊克哉
監督賞:天野千尋
新人監督賞:宮森玲実
■ベストテン
1位 佐藤さんと佐藤さん
2位 君の顔では泣けない
3位 兄を持ち運べるサイズに
4位 「桐島です」
5位 金髪
6位 ナイトフラワー
7位 選挙と鬱
8位 火の華
9位 わたしの頭はいつもうるさい
10位 温帯の君へ
■コメント
インディーズ出身監督が商業映画を撮り進む内、より地力のある俳優と組むことで、ポテンシャルを存分に発揮していく…。天野千尋、坂下雄一郎、中野量太の作品でそれを目撃できたことは、至極幸せという他ない。監督賞は天野と坂下で悩んだが、『佐藤さんと佐藤さん』がやっぱり素晴しすぎた。女優賞はちと逡巡しつつ、坂下の『君の顔では泣けない』の芳根京子に。男優賞は『「桐島です」』の毎熊克哉で、迷いはなかった。三留まゆみ(イラストライター)
選評
■個人賞
主演女優賞:原田知世
主演男優賞:毎熊克哉
監督賞:松井良彦
新人監督賞:旦雄二
■ベストテン
1位 「桐島です」
2位 ペリリュー 楽園のゲルニカ
3位 こんな事があった
4位 宝島
5位 金子差入店
6位 兄を持ち運べるサイズに
7位 この夏の星を見る
8位 ルノワール
9位 新幹線大爆破
10位 少年
■コメント森直人(映画評論家)
選評
■個人賞
主演女優賞:鄭亜美
主演男優賞:長塚京三
監督賞:山内ケンジ
新人監督賞:団塚唯我
■ベストテン
1位 アジアのユニークな国
2位 海辺へ行く道
3位 見はらし世代
4位 中山教頭の人生テスト
5位 宝島
6位 次元を超える
7位 ふつうの子ども
8位 ファーストキス 1ST KISS
9位 代々木ジョニーの憂鬱な放課後
10位 ルノワール
■コメント
「国宝」「旅と日々」「敵」の三強を除いたベストテンなら、「アジアのユニークな国」にトップを取って欲しい。作品公開の規模からすると、各映画賞関係で正直ちょっと驚くほど健闘していますが、できればひとつ賞を差し上げたい。愉快犯の作法で本気の日本論を紡いだ傑作ですが(若い世代の日本論なら昨年の「ナミビアの砂漠」に続いて今年は「見はらし世代」が秀逸)、映画の未来展望としても様々な提案がある一本だと思います。