第27回(2017年度)
作品賞&個人賞
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作品賞
勝手にふるえてろ
監督:大九明子
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主演女優賞
松岡茉優
「勝手にふるえてろ」
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主演男優賞
浅野忠信
「幼な子われらに生まれ」
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監督賞
廣木隆一
「彼女の人生は間違いじゃない」
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新人監督賞
石川慶
「愚行録」
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新人女優賞
瀧内公美
「彼女の人生は間違いじゃない」
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新進男優賞
村上虹郎
「武曲 MUKOKU」
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特別賞
OP PICTURES
長年の活動に対して
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特別功労賞
大林宣彦
長年の功労に対して
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観客賞
あゝ、荒野
前年度のクラウドファンディング参加者の方々により選出
ベストテン
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1
勝手にふるえてろ
監督:大九明子
出演:松岡茉優、渡辺大知、石橋杏奈、北村匠海
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2
幼な子われらに生まれ
監督:三島有紀子
出演:浅野忠信、田中麗奈、宮藤官九郎、寺島しのぶ
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3
彼女の人生は間違いじゃない
監督:廣木隆一
出演:瀧内公美、光石研、高良健吾、柄本時生
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4
愚行録
監督:石川慶
出演:妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美
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5
ビジランテ
監督:入江悠
出演:大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太、篠田麻里子
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6
バンコクナイツ
監督:富田克也
出演:スベンジャ・ポンコン、スナン・プーウィセット、チュティパー・ポンピアン、タンヤラット・コンプー
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7
彼女がその名を知らない鳥たち
監督:白石和彌
出演:蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、村川絵梨
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8
武曲 MUKOKU
監督:熊切和嘉
出演:綾野剛、村上虹郎、前田敦子、小林薫
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9
光
監督:大森立嗣
出演:井浦新、瑛太、長谷川京子、橋本マナミ
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10
南瓜とマヨネーズ
監督:冨永昌敬
出演:臼田あさ美、太賀、光石研、オダギリジョー
選考委員
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足立喜之(会社員)
選評
■個人賞
主演女優賞 石橋静河(「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」)
主演男優賞 池松壮亮(「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」)
監督賞 白石和彌(「彼女がその名を知らない鳥たち」)
新人監督賞 石川慶(「愚行録」)
■ベストテン
1、彼女がその名を知らない鳥たち
2、武曲 MUKOKU
3、三度目の殺人
4、愚行録
5、破門 ふたりのヤクビョーガミ
6、獣道
7、14の夜
8、おじいちゃん、死んじゃったって。
9、くも 漫
10、夜は短し歩けよ乙女 -
石飛徳樹(朝日新聞記者)
選評
■個人賞
主演女優賞 水原希子(「奥田民生になりたいボーイ」)
主演男優賞 池松壮亮(「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」)
監督賞 是枝裕和(「三度目の殺人」)
新人監督賞 永井聡(「帝一の國」)
■ベストテン
1、三度目の殺人
2、牝猫たち
3、勝手にふるえてろ
4、奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール
5、帝一の國
6、獣道
7、彼女の人生は間違いじゃない
8、幼な子われらに生まれ
9、アウトレイジ 最終章
10、トリガール!
■コメント
「三度目の殺人」の評価が高くない。私は是枝監督の代表作だと思う。真実をぼかしたことを批判する向きもあるようだが、きちんと見れば、真実は一つしか描いていない。是枝監督は日本のメディアを覆う「分かりやすさの陥穽」と闘っている。彼の警鐘が伝わらないことに歯がゆさと恐怖を覚える。今回の池松壮亮は、自らの演技もさることながら、石橋静河を始め、登場人物たちの魅力を最大限に引き出す司令塔の役割を果たしていた。 -
磯島治之(編集者)
選評
■個人賞
主演女優賞 水原希子(「奥田民生~」)
主演男優賞 浅野忠信(「幼な子われらに生まれ」)
監督賞 白石和彌(「彼女がその名を知らない鳥たち」)
新人監督賞 石川慶(「愚行録」)
■ベストテン
1、幼な子我らに生まれ
2、彼女がその名を知らない鳥たち
3、WHO KiLLD ⅠDOL? ―SiS消滅の詩―
4、帝一の國
5、彼女の人生は間違いじゃない
6、14の夜
7、火花
8、奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール
9、アウトレイジ 最終章
10、退屈な日常にさよならを
■コメント
「恋をしながら賢い状態でいれるわけはない」「私が自信をもってできることは、私自身であること。たとえ私という存在がどんな人間であろうとも」(ボブ・ディラン)
ベストテン、個人賞は昨年観た対象作113本の中から選んだ。10本を並べてみて、何がポイントになっているか考えてみると、上記したボブの名言2つを思い出した。「幼な子」の浅野、「彼女が」の蒼井、「彼女の」の瀧本、「火花」の菅田は演技で、「SiS」の4人はドキュメントで監督との協同作業によりそれを見事に体現した。「新たな日本映画の流れがわれらに生まれ」、「昨年度の日本映画の流れが間違いじゃなかった」1年だったように思う。「幼な子」に共感された方は、同じ三島監督の作品で公開当時ほとんど評価も出なかった「繕い裁つ人」もDVDで観てほしいと思う。昨年度発売になった本では、モルモット吉田「映画評論 入門」が読み応えがあった。 -
伊藤さとり(映画パーソナリティ)
選評
■個人賞
主演女優賞 松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)
主演男優賞 オダギリジョー(「エルネスト」)
監督賞 白石和彌(「彼女がその名を知らない鳥たち」)
新人監督賞 石川慶(「愚行録」)
■ベストテン
1、彼女がその名を知らない鳥たち
2、勝手にふるえてろ
3、幼な子われらに生まれ
4、愚行録
5、南瓜とマヨネーズ
6、夜明けを告げるルーのうた
7、おじいちゃん、死んじゃったって。
8、彼らが本気で編むときは、
9、ジョニーの休日
10、八重子のハミング
■コメント
2017年の邦画は、俳優や監督にとってチャレンジングなものが多く、特に上映館数の多くない作品でキラリと光るものがあった。「勝手にふるえてろ」の口コミは輝かしく、主演の松岡茉優でしかこの役はいないと思わせるほど、素直になれないこじらせ女子ヨシカが愛おしくさえ感じた。そして今の日本では映画化は難しいであろう海外での長期ロケと日系2世役というのでスペイン語をマスターし、全身全霊で役になりきったオダギリジョーの俳優としての力量に賞賛を贈ったのが「エルネスト」であった。 -
上野昂志(映画批評家)
選評
■個人賞
主演女優賞 橋本マナミ(「光」)
主演男優賞 池松壮亮(「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」)
監督賞 黒沢清(「散歩する侵略者」)
新人監督賞 廣原暁(「ポンチョに夜明けの風はらませて」)
■ベストテン
1、散歩する侵略者
2、光(大森立嗣)
3、エルネスト
4、バンコクナイツ
5、風に濡れた女
6、禅と骨
7、ハローグッバイ
8、ポンチョに夜明けの風をはらませて
9、南瓜とマヨネーズ
10、三里塚のイカロス
■コメント
2016年は、10本を選ぶのに苦労したが、2017年は逆に、10本に絞るのが難しかった。こういう傾向は、いまにはじまったことではないが、その意味で、日本映画の出来不出来は、2年周期ぐらいで見るべきなのかもしれない。ともあれ、今年は、挙げた作品以外でも、一昨年ならベストテン入りする映画もあり、新人の活躍も目立った。とくにドキュメンタリーでは、新人の「鉱」や「息の跡」、ベテランの「沈黙立ち上がる慰安婦」のような秀作・労作があったことが記憶に残る。 -
臼井一郎(フリー)
選評
■個人賞
主演女優賞 瀧内公美(「彼女の人生は間違いじゃない」)
主演男優賞 綾野剛(「武曲 MUKOKU」)
監督賞 廣木隆一(「彼女の人生は間違いじゃない」)
新人監督賞 伏見健之(「人生フルーツ」)
■ベストテン
1、彼女の人生は間違いじゃない
2、武曲 MUKOKU
3、幼な子われらに生まれ
4、人生フルーツ
5、三里塚のイカロス
6、DESTINY 鎌倉物語
7、なりゆきな魂
8、米軍が最も恐れた男 その名はカメジロー
9、光(大森立嗣)
10、家族はつらいよ2
■コメント
今回の選考前にひとりで面白がっていました。剣術(?)と拳闘(?)のトップ争いだ。どうしようと。当然ですが、大人の事情=選考のルールを優先し、例年通りのあまり変化のない(私の基準で)ベストテンになりました。今、ぜひ観ておいていただきたい作を私なりのバランスで選びましたが、どうでしょうか。 -
大高健志(MOTIONGALLERY代表)
選評
■個人賞
主演女優賞 石井杏奈(「スプリング・ハズ・カム」)
主演男優賞 間宮祥太朗(「全員死刑」)
監督賞 入江悠(「ビジランテ」)
新人監督賞 松本花奈(「脱脱脱脱17」)
■ベストテン
1、ビジランテ
2、リベリアの白い血
3、バンコクナイツ
4、勝手にふるえてろ
5、夜は短し歩けよ乙女
6、アンチポルノ
7、全員死刑
8、もうろうをいきる
9、退屈な日々にさようならを
10、8年越しの花嫁 奇跡の実話
■コメント
「散歩する侵略者」「三度目の殺人」など、日本を代表するマエストロの作品が公開されて嬉しい1年。そんな中で他の映画祭で受賞する作品は外しつつ、インディペンデントな作家性を感じた映画を挙げた。社会情勢に鋭い視線を放った良作が多かった事が、これまでと大きく違うと感じた。個人的には「8年越しの花嫁」が、多くの人を感動させる商業映画でありつつ、瀬々敬久監督の作家としての意志も色濃く、驚いた。 -
大高宏雄(日プロ大賞実行委員長)
選評
■個人賞
主演女優賞 水原希子(「奥田民生~」)
主演男優賞 綾野剛(「武士 MUKOKU」)
監督賞 廣木隆一(「彼女の人生は間違いじゃない」)
新人監督賞 切通理作(「青春夜話~」)
■ベストテン
1、家族はつらいよ2
2、武曲 MUKOKU
3、奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール
4、彼女の人生は間違いじゃない
5、光(大森立嗣)
6、勝手にふるえてろ
7、牝猫たち
8、8年越しの花嫁 奇跡の実話
9、幼な子われらに生まれ
10、青春夜話 Amazing Place -
大塚史貴(映画.com副編集長)
選評
■個人賞
主演女優賞 松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)
主演男優賞 藤原竜也(「22年目の告白~」)
監督賞 入江悠(「22年目の告白~」)
新人監督賞 石川慶(「愚行録」)
■ベストテン
1、22年目の告白 私が殺人犯です
2、愚行録
3、光(大森立嗣)
4、勝手にふるえてろ
5、帝一の國
6、茅ケ崎物語 MY LITTLE HOMETOWN
7、ナラタージュ
8、幼な子われらに生まれ
9、おじいちゃん、死んじゃったって。
10、エキストランド -
荻野洋一(映像演出・映画評論)
選評
■個人賞
主演女優賞 満島ひかり(「愚行録」)
主演男優賞 妻夫木聡(「愚行録」)
監督賞 廣木隆一(「彼女の人生は間違いじゃない」)
新人監督賞 石川慶(「愚行録」)
■ベストテン
1、彼女の人生は間違いじゃない
2、愚行録
3、最低。
4、バンコクナイツ
5、月と雷
6、PARKS/パークス
7、夏の娘たち ひめごと
8、南瓜とマヨネーズ
9、過激派オペラ
10、奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール
■コメント
白昼なのにあたりが薄暗がりに包まれ、バスの座席にいる妻夫木聡の硬直した顔貌が、車外からのヌメリとしたカメラワークでとらえられた瞬間、車窓に細かい水滴が付着していく。この不穏な天候描写によるファーストカットだけで、「愚行録」の監督の才能を確信した。妻夫木、満島、悪役(?)の松本若菜はじめ演者陣が光った。「彼女の人生は間違いじゃない」の光石研はいつにも増して素晴らしかった。助演男優賞があれば光石研に捧げたい。 -
加藤敦(北海道新聞記者)
選評
■個人賞
主演女優賞 満島ひかり(「海辺の生と死」)
主演男優賞 生田斗真(「彼らが本気で編むときは、」)
監督賞 廣木隆一(「彼女の人生は間違いじゃない」)
新人監督賞 なし
■ベストテン
1、彼らが本気で編むときは、
2、幼な子われらに生まれ
3、彼女がその名を知らない鳥たち
4、彼女の人生は間違いじゃない
5、ビジランテ
6、愚行録
7、勝手にふるえてろ
8、三度目の殺人
9、海辺の生と死
10、愛しのノラ 幸せのめぐり逢い
■コメント
女性監督の作品が1、2、7を占めました。北海道出身の白石和彌監督の3、ゆうばり映画祭出身の入江悠監督の5と、北海道の映画ファンには嬉しい活躍ぶり。ほっとさせる10の田尻裕司監督も北海道出身。8は北海道でもロケされました。主演女優賞の9の満島ひかりは6も加味して選びました。7の松岡茉優の軽妙さも捨てがたかった。4は作品を量産する廣木隆一監督が本当に撮りたかった映画だと思います。 -
上島春彦(映画評論家)
選評
■個人賞
主演女優賞 黒川芽以(「二十六夜待ち」)
主演男優賞 井浦新(「二十六夜待ち」)
監督賞 瀬々敬久(「最低。」)
新人監督賞 切通理作(「青春夜話~」)
■ベストテン
1、最低。
2、二十六夜待ち
3、DESTINY 鎌倉物語
4、武曲 MUKOKU
5、関ヶ原
6、青春夜話 Amazing Place
7、禅と骨
8、ビジランテ
9、狂覗
10、全員死刑
■コメント
原発支持派監督がしれっと転向して、たわいない映画を作ったらそれが世間から大絶賛という構図に心からうんざり。大林宣彦のことである。この人が今度は広島原爆を描きたいと言っているとか聞いた。どこまでしれっとしてるのかね。この人は、こういう人がそのうち国から立派な勲章でもお貰いになるのでしょう。 -
河本清順(シネマ尾道支配人)
選評
■個人賞
主演女優賞 貫地谷しほり(「望郷」)
主演男優賞 永瀬正敏(「光」)
監督賞 杉野希妃(「雪女」)
新人監督賞 平野善弘(「おじいちゃん、死んじゃったって。」)
■ベストテン
1、武曲 MUKOKU
2、ビジランテ
3、光(河瀬直美)
4、アウトレイジ 最終章
5、バンコクナイツ
6、夏の娘たち~ひめごと~
7、望郷
8、光(大森立嗣)
9、南瓜とマヨネーズ
10、三度目の殺人
■コメント
日プロ大賞では選考外ですが、「花筐」「あゝ、荒野」「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」も傑作でした。しかしながら、それらの3本ほかベストテンで選んだ10本も、東京では満席でも、尾道のような地方では興行的に厳しいというのが現状です。力のある日本映画が多くなるほど、「その格差を壊していく地方の文化力が試されているように思います。「夏の娘たち」堀禎一監督の次回作を観られないのはホントに残念です。 -
古賀重樹(新聞記者)
選評
■個人賞
主演女優賞 満島ひかり(「海辺の生と死」)
主演男優賞 浅野忠信(「幼な子われらに生まれ」)
監督賞 入江悠(「ビジランテ」)
新人監督賞 石川慶(「愚行録」)
■ベストテン
1、ビジランテ
2、幼な子われらに生まれ
3、彼らが本気で編むときは、
4、家族はつらいよ2
5、彼女の人生は間違いじゃない
6、バンコクナイツ
7、牝猫たち
8、海辺の生と死
9、火花
10、愚行録
■コメント
既存の映画賞とまったく重ならなかった。新人監督賞は瀬田なつきも入れたかった。 -
小張アキコ(映画評論家)
選評
■個人賞
主演女優賞 高畑充希(「DESTINEY 鎌倉ものがたり」)
主演男優賞 オダギリジョー(「エルネスト」)
監督賞 阪本順治(「エルネスト」)
新人監督賞 森ガキ侑大(「おじいちゃん、死んじゃった」)
■ベストテン
1、DESTINEY 鎌倉ものがたり
2、エルネスト
3、彼女の人生は間違いじゃない
4、牝猫たち
5、雪女
6、血を吸う粘土
7、アウトレイジ 最終章
8、三度目の殺人
9、Mr.Long
10、クロス
■コメント
17年は、前年のように超満員の映画館で邦画を見た記憶はありません。ここで選べなかった大林監督、さらなる新作を期待します。助演男優賞があれば、あげたい俳優が何人もいます。その中で「アウトレイジ 最終章」の塩見三省が一番です。もう一度見てみたいと思える映画No.1は「DESTINEY 鎌倉ものがたり」。ヒロインの名前で選んだわけではありません。「エルネスト」のラストを見て、私がかの地を訪れたときに、日系人エルネストの存在に気が付かなかった理由がわかりました。阪本順治が撮ったマレコンとおりは、W・ヴェンダースのハバナ海岸通りを思い出し、すごくうれしくなりました。「団地」の次に「エルネスト」を撮る阪本順治に感服です。 -
佐藤佐吉(脚本・監督)
選評
■個人賞
主演女優賞 松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)
主演男優賞 桐谷健太(「ビジランテ」)
監督賞 白石和彌(「彼女がその名を知らない鳥たち」)
新人監督賞 小林勇貴(「ヘドローバ」)
■ベストテン
1、勝手にふるえてろ
2、ヘドローバ
3、彼女がその名を知らない鳥たち
4、ムーンライト下落合
5、愚行録
6、まんが島
7、美しい星
8、22年目の告白 私が殺人犯です
9、MATSUMOTO TRIBE
10、青春夜話 Amazing Place -
徐昊辰(映画ライター)
選評
■個人賞
主演女優賞 生田斗真(「彼らが本気で編むときは、」)
主演男優賞 井浦新(「光」)
監督賞 藤井秀剛(「狂覗」)
新人監督賞 緒方貴臣(「飢えたライオン」)
■ベストテン
1、光(大森立嗣監督)
2、狂覗
3、おクジラさま、ふたつの正義の物語
4、バンコクナイツ
5、幼な子われらに生まれ
6、夏の娘たち~ひめごと
7、ビジランテ
8、アンチポルノ
9、奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール
10、夜は短し歩けよ乙女
■コメント
今年最も好きな作品は大林宣彦監督の「花筺」ですが、他の作品は特に差はなく、日プロの方針を踏まえた上で作品を選びました。大森立嗣監督の「光」は暴力の根源、「狂覗」は共謀罪に関わる病的社会、「おクジラ様~」はまさかの「ザ・コーヴ」に対し、一番理想的な「答え」が撮れた。 -
進藤良彦(ライター)
選評
■個人賞
主演女優賞 松岡茉優(勝手にふるえてろ)
主演男優賞 浅野忠信(幼な子われらに生まれ)
監督賞 廣木隆一(彼女の人生は間違いじゃない)
新人監督賞 石川慶(愚行録)
■ベストテン
1、彼女の人生は間違いじゃない
2、勝手にふるえてろ
3、DESTINEY 鎌倉ものがたり
4、リンキング・ラブ
5、愚行録
6、幼な子われらに生まれ
7、銀魂
8、夜明け告げるルーのうた
9、狂覗
10、奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール
■コメント
恥を忍んで言えば、試写の案内が来ないため「勝手にふるえてろ」を見るのがキネ旬の投票〆切に間に合わなかった。こちらでは自分のベスト・テン上位作品が何本か除外になることもあり、その穴埋めとして2位に推す。松岡茉優はもっともっとデカイ女優になっていくはずだが、その最初の代表作として記憶に留める。テンから漏れたところでは、「ビジランテ」は消極的支持、「彼らが本気で編むときは、」は積極的不支持。 -
高崎俊夫(編集・映画批評家)
選評
■個人賞
主演女優賞 満島ひかり(「海辺の生と死」)
主演男優賞 浅野忠信(「幼な子われらに生まれ」)
監督賞 中村高寛(「禅と骨」)
新人監督賞 小森はるか(「息の跡」)
■ベストテン
1、禅と骨
2、幼な子われらに生まれ
3、愚行録
4、息の跡
5、散歩する侵略者
6、彼女がその名を知らない鳥たち
7、アウトレイジ 最終章
8、バンコクナイツ
9、光(大森立嗣)
10、エルネスト
■コメント
ドキュメンタリーでは「禅と骨」と「息の跡」が対照的なアプローチながら、対象への尋常ならざる愛を感じさせた。「幼な子われらに生まれ」は荒井晴彦のホンを自らの生理に則って再構築した三島有紀子の手腕に唸る。「愚行録」は往年の〈ポーランド派〉を思わせる不穏な審美的映像がテーマと見事に融合している。 -
谷岡雅樹(ノンフィクション作家)
選評
■個人賞
主演女優賞 吉田円佳(MADOKA)(「二度目の夏、二度と会えない君」)
主演男優賞 佐々木蔵之介(「破門 ふたりのヤクビョーガミ」)
監督賞 小林聖太郎(「破門 ふたりのヤクビョーガミ」)
新人監督賞 岸善幸(「あゝ、荒野」)
■ベストテン
1、チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~
2、ナミヤ雑貨店の奇蹟
3、二度目の夏、二度と会えない君
4、昼顔
5、破門 ふたりのヤクビョーガミ
6、家族はつらいよ2
7、八重子のハミング
8、一礼して、キッス
9、覆面系ノイズ
10、帝一の國 -
寺脇研(映画批評家・プロデューサー)
選評
■個人賞
主演女優賞 有森也実(「いぬむこいり」)
主演男優賞 池松壮亮(「夜空はいつでも最高密度の青色だ」)
監督賞 安藤尋(「月と雷」)
新人監督賞 該当者なし
■ベストテン
1、月と雷
2、彼女の人生は間違いじゃない
3、最低。
4、幼な子われらに生まれ
5、ビジランテ
6、バンコクナイツ
7、エルネスト
8、武曲 MUKOKU
9、牝猫たち
10、いぬむこいり
■コメント
ヒット漫画の安易な映画化とか、「泣ける」映画とか、「キラキラ青春映画」とか、シネコンで大々的に封切られている愚にもつかない代物に辟易しながら、なんとか日本映画を見続けることができたのは、「夜空はいつでも最高密度の青色だ」と、ここに挙げた作品群があったからだ。そうでなければ、とっくに愛想を尽かして韓国映画の方に行ってしまっただろう。その意味で、これらを作ってくれた関係者に深く感謝したい。 -
中村勝則(映画ライター)
選評
■個人賞
主演女優賞 松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)
主演男優賞 生田斗真(「彼らが本気で編むときは、」)
監督賞 荻上直子(「彼らが本気で編むときは、」)
新人監督賞 石川慶(「愚行録」)
■ベストテン
1、彼らが本気で編むときは、
2、幼な子われらに生まれ
3、彼女の人生は間違いじゃない
4、散歩する侵略者
5、愚行録
6、勝手にふるえてろ
7、熟女ヴァージン 揉まれて港町(出会ってないけど、さようなら)
8、ももいろ絵本 イッてみよう、ヤッてみよう
9、リンキング・ラブ
10、青春夜話 Amazing Place
■コメント
日プロらしさを意識して、基本ビッグ・バジェットはなるだけ外した10本である。「彼らが本気で編むときは、」は、同性愛と家族愛を見事に融合させたオリジナル脚本が素晴らしい。トランジェンダーの主人公を実に愛おしく演じた生田斗真には、主演男優というより「女優賞」を贈りたい(笑)。 -
長野辰次(ライター)
選評
■個人賞
主演女優賞 伊藤沙莉(「獣道」)
主演男優賞 綾野剛(「武曲 MUKOKU」)
監督賞 石川慶(「愚行録」)
新人監督賞 福永壮志(「リベリアの白い血」)
■ベストテン
1、獣道
2、バンコクナイツ
3、勝手にふるえてろ
4、愚行録
5、武曲 MUKOKU
6、退屈な日々にさよならを
7、PARKS パークス
8、ろくでなし
9、雪女
10、おじいちゃん、死んだって。
■コメント
コミック原作ものを除くと、どうしても制作規模の小さな作品が多くなってしまうが、そんな中で若者たちの居場所探しを描いた「獣道」の切実なテーマ性、オールタイロケ作品「バンコクナイツ」の骨太さに魅了された。人間の暗部に迫る「愚行録」は、ポーランド出身の撮影監督ピオトル・ニエミイスキによる冷たく乾いた映像が素晴らしく、物語世界に引き込まれる。「おじいちゃん、死んだって。」の岸井ゆきの、「東京喰種」の清水富美加の演技も印象に残った。 -
西田宣善(オムロ代表)
選評
■個人賞
主演女優賞 筒井真理子(「アンチポルノ」)
主演男優賞 仲代達矢(「海辺のリア」)
監督賞 吉田大八(「美しい星」)
新人監督賞 該当者なし
■ベストテン
1、美しい星
2、海辺のリア
3、夏の娘たち~ひめごと~
4、アンチポルノ
5、22年目の告白 私が殺人犯です
6、禅と骨
7、PARKS パークス
8、風に濡れた女
9、雪女
10、レミングスの夏
■コメント
「美しい星」は意欲作だと思うが、批評的にも興行的にも不評なので残念。こういうSFやファンタジーはもっと見たい。「夏の娘たち~ひめごと~」の故堀禎一監督に特別賞を。 -
樋口尚文(映画批評家、映画監督)
選評
■個人賞
主演女優賞 中西美帆(「東京ウィンドオーケストラ」)
主演男優賞 浅野忠信(「幼な子われらに生まれ」)
監督賞 三島有紀子(「幼な子われらに生まれ」)
新人監督賞 坂下雄一郎(「東京ウィンドオーケストラ」)
■ベストテン
1、幼な子われらに生まれ
2、ビジランテ
3、愚行録
4、最低。
5、勝手にふるえてろ
6、南瓜とマヨネーズ
7、東京ウィンドオーケストラ
8、雪女
9、こいのわ婚活クルージング
10、空と海のあいだ
■コメント
別格の大林監督「花筺」の異様な熱気と若々しさにはさまざまなものを教えられ、挑発された。いよいよまともな構えでの映画づくりが難しくなってきている今どき、「映画はどこでどんなかたちで撮ってもいいものだ」という示唆を与えてくれた「花筺」に次いで、この十本も多彩なかたちで映画の成立地点を果敢に探っていて感動させられる。 -
藤永一彦(ギンレイホール)
選評
■個人賞
主演女優賞 松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)
主演男優賞 桐谷健太(「火花」)
監督賞 冨永昌敬(「南瓜とマヨネーズ」)
新人監督賞 大九明子(「勝手にふるえてろ」)
■ベストテン
1、勝手にふるえてろ
2、アウトレイジ 最終章
3、南瓜とマヨネーズ
4、バンコクナイツ
5、3月のライオン 前篇・後編
6、息の跡
7、帝一の國
8、禅と骨
9、昼顔
10、夏の娘たち~ひめごと~
■コメント
私が見た新作邦画73本から選びました。見られなかった、見逃した映画がたくさんあります。ベストテンは娯楽映画と世界映画を視野に入れたような実験的な映画が混然としています。今年も役者の方には多いに楽しませてもらいました。一人を決めるのはとても難しいですが、今後の期待と応援を兼ねて選びました。ありがとうございました。 -
細谷隆広(トラヴィス宣伝)
選評
■個人賞
主演女優賞 瀧内公美(「彼女の人生は間違いじゃない」)
主演男優賞 佐藤健(「8年越しの花嫁」)
監督賞 中村高寛(「禅と骨」)
新人監督賞 青柳拓(「ひいくんのあるく町」)
■ベストテン
1、禅と骨
2、最低。
3、彼女の人生は間違いじゃない
4、ももいろ絵本 イッてみよう、ヤッてみよう
5、ひいくんのあるく町
6、南瓜とマヨネーズ
7、青春夜話 Amazing Place
8、夏の娘たち~ひめごと~
9、8年越しの花嫁
10、狂覗 -
堀口慎(映画製作者連盟)
選評
■個人賞
主演女優賞 松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)
主演男優賞 綾野剛(「武曲 MUKOKU」)
監督賞 廣木隆一(「彼女の人生は間違いじゃない」)
新人監督賞 石川慶(「愚行録」)
■ベストテン
1、散歩する侵略者
2、PARKS パークス
3、バンコクナイツ
4、ビジランテ
5、愚行録
6、勝手にふるえてろ
7、光(大森立嗣)
8、南瓜とマヨネーズ
9、ポンチョに夜明けの風はらませて
10、夏の娘たち~ひめごと~
■コメント
「ハローグッバイ」「牝猫たち」が次点。例年通り、キネマ旬報ベストテンに入選した作品は極力外し、「散歩する侵略者」、「バンコクナイツ」の2作のみとした。新人監督賞はここ数年では低い水準で、飯塚俊光、坂下雄一郎、鈴木洋平、岡谷文雄なども候補として考えたが、石川慶が群を抜いているか。「妄想少女オタク系」(07)、「魔法少女を忘れない」(11)を日プロにて上位に推したということもあり、堀禎一監督の旧制は残念な出来事であった。 -
松崎まこと(放送作家・映画活動家)
選評
■個人賞
主演女優賞 松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)
主演男優賞 岡山天音(「ポエトリーエンジェル」)
監督賞 菊地健雄(「ハローグッバイ」)
新人監督賞 長久充(「そうして私たちはプールに金魚を、」)
■ベストテン
1、美しい星
2、勝手にふるえてろ
3、彼女の人生は間違いじゃない
4、月と雷
5、ハローグッバイ
6、獣道
7、南瓜とマヨネーズ
8、そうして私たちはプールに金魚を、
9、空(カラ)の味
10、ポエトリーエンジェル
■コメント
第1位は、青春小説からコミックまで、常に原作ものにチャレンジしてきた吉田大八監督の、“換骨奪胎”のピークとも言うべき作品。第2位は、松岡茉優の”主演“デビューを飾るには、これ以上にふさわしい作品があろうか。監督賞は、吉田とも思ったが、清新にして老練な作品を送り出した菊地監督に。新人監督賞は、27分という短尺ながら、今後に「これ以上にない」期待をもたせてくれた、長久くんに贈りたい。 -
森直人(映画評論家)
選評
■個人賞
主演女優賞 松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)
主演男優賞 須森隆文(「ぼくらの亡命」)
監督賞 入江悠(「ビジランテ」)
新人監督賞 岩切一空(「花に嵐」)
■ベストテン
1、ビジランテ
2、22年目の告白 私が殺人犯です
3、牝猫たち
4、奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール
5、南瓜とマヨネーズ
6、勝手にふるえてろ
7、MOTHER FUCKER
8、WHO KiLLED ⅠDOL? ーSiS消滅の詩ー
9、ぼくらの亡命
10、ナラタージュ
■コメント
不当にも他の賞に引っ掛からなかった者をサルベージするなら、今年は入江悠しかありえないと思っています。「22年目の告白 私が殺人犯です」でメジャーヒットを飛ばし、「ビジランテ」でコアに個性を突き詰め、さらにTⅤドラマ「SRサイタマノラッパー~マイクの細道~」は青春期の総括といったものかと。あと豊作のドキュメンタリー群から、「賞」とは無縁そうな二本(⑦⑧)を選びました。 -
横田ます美(キネカ大森支配人)
選評
■個人賞
主演女優賞 松岡茉優(「勝手にふるえてろ」)
主演男優賞 役所広司(「三度目の殺人」)
監督賞 白石和彌(「彼女がその名を知らない鳥たち」)
新人監督賞 石川慶(「愚行録」)
■ベストテン
1、彼女がその名を知らない鳥たち
2、散歩する侵略者
3、At the terrace テラスにて
4、幼な子われらに生まれ
5、光(河瀬直美監督)
6、バンコクナイツ
7、勝手にふるえてろ
8、ビジランテ
9、人生フルーツ
10、夜は短し歩けよ乙女